平成28年度全国事業所協議会全国研修大会(岡山大会)

平成28年度全国手をつなぐ育成会連合会 
全国育成会事業所協議会全国研修大会・岡山県大会

 9月3日(土)13時から4日 (日)12時まで、岡山市内の岡山ロイヤルホテルにおいて、台風12号が九州に接近しているということで開催が心配されたが、全国から340名を超える参加者を迎えて開催された。

第一日
1 開  会

 13時15分から、輪輪かけはしの武川広子さんの司会により、先の7月26日に神奈川県相模原市の障害者施設で多数の死傷者が出た元施設職員による殺人 事件の犠牲者に対して黙祷を捧げ、その後、開会が宣言されて、まず一般社団法人岡山県手をつなぐ育成会日下功会長が開会の挨拶を述べた。神奈川県の事件に触れ、 大きなショックを受けたが、私たちは共生社会の実現に向けて今後の対応についてしっかり話し合いたい。また、今回の晴れの国・岡山では「笑顔あふれる事業 所作り」をテーマに研修大会を開催することになったので、これまで障害のある人たちの自立と共生社会の実現を目指し度々の制度改正が行われてきたが、親子 ともどもに高齢化が進む中で、地域で安心して暮らせる地域支援の実現に向けて活発な協議が行われ、三年後の見直しに向けて改善が図られるよう育成会活動を しっかり進めて行こうと訴え、挨拶とされた。
 開会挨拶後、司会から大会日程と大会趣旨の説明があり、講演に移った。

2 講  演

 中央情勢報告「障害者福祉に関する3年後の見直しについて」
  講師 厚生労働省援護局障害福祉部 企画課長 朝 川 知 昭 氏   要項掲載資料
・7月の神奈川県の事件について、厚労省として再発防止に向けて検討中である。まず事件の検証について、検討チームにより作業を行っており、その結果の中間的まとめが間も無く出る。
・防犯対策について、一般防犯へのハード面の対応と元職員が起こした事件だけにソフト面の特殊な対応と、二つに分けた点検事項を近く厚労省として示すつもりである。
・元職員が精神科医療施設へ措置入院されていたことも含めて再検討しなくてはならないと思っている。
・施設の防犯対策については、先日閣議決定された本年度第2次補正予算の中の障害施設対策100億円の中に組み込んでいるし、また来年度予算へも組み入れるようにするので、活用されたい。
・さて、本日の内容であるが、まず、近年の動向であるが、総合支援法による障害福祉サービス利用者が伸びてきているが、最近では障がい児が急速に伸びている。
・障害児の放課後ディーサービスや発達障害児支援などが普及されてきたもの。
・障害者と障害児を合わせた費用が一兆円を超えているという状況。社会保障費の中で大きなウェイトを占めるようになった。
・サービス給付予算は、補助的経費として財政的に裏付けられているが、残念ながら地域生活支援事業費は裁量的経費ということで伸びていないので、努力したいと思っている。
・今年の4月から障害者差別解消法が施行された。差別的取り扱いは国自治体・民間事業者も法的義務となっており、合理的配慮については、国自治体のみ法的義務があるが、民間事業者は努力義務となっている。
・内閣府において施行に向けて基本方針が定められ、各省庁においてガイドラインの整備が行われ、関係事業者へ公表されている。
・もう一つは、差別を解消するための四つの支援措置が示されているが、そのうちの地域のおける連携として障害者差別解消支援地域協議会を設立して関係機関 との連携が求められているので、自立支援協議会とともに他分野でも地域協議会が作られており、それらとも関係を持ちながら、積極的に関わっていただきたい と思う。
・対応要領などのガイドラインについて、資料の通り、各事業者向けに示されているので、参考にしてもらいたい。
・その中で、福祉事業者向けのガイドラインで不当な取り扱い例として四つ示されており、サービス利用の拒否、制限、条件付与、他のものと違う取り扱いの禁止が示されている。合理的配慮にも資料の通り、提示させていただいている。
・職員の処遇改善について、平成21年から累次にわたって制度的に行われてきており、前回にも1.2万円の改善が行われたが、その後、政府としては一億総活躍ということから第三本の矢として更なる改善を図っていこうということになっている。
・介護の分野で来年度一万円の改善が行われるが、障害の分野についても同様の改善が行われることになっている。
・年末までには報酬改定という形で固めていく予定となっている。30年度の報酬改定とは別に来年度実施するので、事業所のみなさんには来年4月から実施できるよう準備をお願いしたい。
・今後、高齢化を迎え介護年代の増加の一方で現役世代が減少し、働く人材が大幅に減少するので中長期的な課題となってくる。
・人材確保の上でも賃金アップを行っていく必要があるとともに、厚労省全体として人材確保の上で施策を考えているので注目していただきたい。
・業界全体として、人材確保の上で、中途退職が出ないような魅力ある職場となるよう努力していただきたい。
・気になるのは、加算に対する取り組みがまだ少ないように思うので、もっと利用を考えていただきたいと思う。
・一億総活躍社会の実現の中に障害者の活動支援安心した生活づくりの活動支援として働く分野として、就労移行や就労定着支援など、また、障福連携、農福連 携などにより就労の場の拡大を、また障害者の地域移行なども図っているので、その分野にも目を向けて取り組んでいただきたい。
・また、2020年にはオリンピックとパラリンピックが開催されるが、障害者スポーツの振興のみならず、芸術文化活動の振興にも力を入れていくようにもなっている。
・次に取り上げられているのは、「地域共生社会の実現」ということであるが、これは地域として小中学校学区内の住民が主体的に子供、高齢者や障害者ととも に暮らすための支援体制作るためのもので、障害者、高齢者のサービス事業者はもちろん地域関係者、機関などとの連携を図っていく。
・特に、これを運営するためのコーディネーターとして、障害福祉サービス事業者がその役割を担って推進していくことが大事ではないかと思う。
・社会福祉法人改革が進められている。本業に力を入れるのは当然のことではあるが、地域社会への支援も担うように改正されていることも踏まえてお願いしたい。
・「障害者総合支援法施行3年後の見直しなどについて」である。
・新しいサービス体系として、グループホームや一人暮らしをするための支援として、巡回訪問などの随時の対応などの自立生活援助や就労の定着を図るための 就労定着支援、医療機関への入院時の一時支援、65歳まで長期間、障害福祉サービスを利用した低所得高齢障害者が引続き障害福祉サービスに相当する介護保 険サービスを利用した場合の軽減策などが創設された。
・また、障害児についても居宅を訪問して支援することや保育所等へ障害福祉サービスを行っている専門職員を派遣し、専門的な指導支援を行うものも創設されている。
・医療的ケアを必要とする在宅の障害児のため、自治体へ各関連分野の協力体制を整え、支援するように法律改正を。
・障害児についての福祉計画を平成30年度から実施するよう、これから各自治体でも作成するように法律改正されているので、参画してほしい。
・障害福祉サービス事業者から、その内容について県知事へ報告してもらい、それを県が公表する仕組みを創設。
・障害福祉計画について、次は平成30年度からのものになり、本年9月から国の審議会で検討することになっており、年度内には国の方針として示す予定と なっている。従って来年度には各都道府県、市町村で作成に取り掛かってもらうことになる。皆さん方からしっかり意見を出していただきたい。
・成果目標としては、「施設入所者の地域生活への移行」、「入院中の精神障害者の地域生活への移行」、「障害者の地域生活支援」、「福祉施設から一般就労への移行」の四つが挙げられている。
・これまで、障害児の成果目標がないので、次の計画では取り上げる予定となっている。
・地域生活支援拠点については、何をすれば良いかとの問い合わせがある。これは、高齢者の地域包括支援にあたるもので、もう10年を経過するが、未だに何をして良いのか迷っているところもあるので、国としてコンセプトを固めていく必要があると思う。
・現在、モデル事業として10地区を指定して模索していただいているが、やはりそれぞれの地方において、何をどうすれば良いか、地域課題を見つけてどう対 応するか、試行錯誤しながらしてもらう必要があるのではないかと思う。モデル事業の成果については、厚労省のホームページで公表しているので参考にしてほ しい。
・計画相談支援について全国的に定着してきていると思う。これは介護保険と同様で、ケアマネである相談担当者がどう活動するかにかかっている。行政担当が 行うとどうしても異動で変わりやすく、あまり専門性のない人が担当することもある。実際動いておられる人をみると地域や事業者のことなど熟知しており、障 害者に寄り添って相談に関わっている。こういう相談支援を充実するようにしたい。
・ここで時間が来たので、終わりたいが、この度の異動で担当して初めてお話ししたことであるので、十分でない点についてご容赦しただきたい。

 時間の都合上、質疑はなく、続いて、事務連絡と熊本地震の被害について、熊本県手をつなぐ育成会川村隼秋会長から説明があり、支援の要請があった。

 15時からは、三つの分科会に分かれて協議が行われた。

 第一分科会「地域生活支援」

 第二分科会「就労支援」

 第三分科会「次世代の育成」

 18時から20時まで、156人の参加者により交流会が開催された。
社会福祉法人岡山市手をつなぐ育成会総括施設長高中美和さんの司会により、開会された。

 まず、全国手をつなぐ育成会連合会久保厚子会長から、神奈川県相模原市の事件か らその対応と反応などについて挨拶の中に述べ、この協議会のみなさんと障害者を守り、障害者とともに歩む共生社会の実現に努力しようと述べ開会挨拶とされ た。
 来賓として、厚労省の障害福祉部企画課長の朝川知昭さんが出席頂き、ご挨拶としては、この度の異動で担当となり、障害福祉分野は初めてとなるので、本日のこの機会はいろいろと情報を得る場であり、みなさん方にお近づきになることができるのでよろしくとの挨拶があった。

 続いて乾杯の音頭を、岡山県手をつなぐ育成会小規模事業所協議会延藤美智子会長から、岡山県でこのような研修大会を全国協議会運営委員のみなさんと我々の協議会で開催できたことへのお礼を述べ、今後のお互いの活躍と健康を祈り、乾杯の声かけを行った。

 全国各地の参加者が、14テープルに分かれて、お酒を酌み交わしながら、情報交換の輪ができ、熱心に話し合われて、あっという間に2時間の交流会が終わり、岡山県小規模事業所協議会の政本昌美副会長から、閉会の挨拶があり、散会した。

 20時から21時30分まで、白杉運営委員の司会と運営により、40数名の参加者とナイトセッションが行われ、活発な意見交換が行われた。

次へ