第40回行動障害療育研修会
第40回(平成28年度) 行動障害療育研修会
恒例の行動障害療育研修会が、平成29年1月24日(火)午後1時から午後3時半まで、岡山県総合福祉・ボランティ ア・NPO会館(きらめきプラザ)の401会議室において、あいにくの県北での大雪ということで、欠席の連絡もあったが、約40名を超える参加者があり、 熱心な研修となった。
1 開 会
岡山県手をつなぐ育成会日下 功会長から、新年の挨拶とこれまでの育成会へのご理解とご支援への感謝を述べ、本日の行動障害療育研修会に多数参加され合 わせてお礼を述べ、昨年11月に県育成会の広報調査委員会でおかやま発達障害者支援センターを見学させていただき、色々とご案内とご説明いただいた河本所 長さんに本日の講師として「発達障害のある人を理解し支える~私たちにできること~」と題してお話をいただくので、よろしくお願いしたいと述べ、開会挨拶 とされた。
2 講 演
演 題「発達障害のある人を理解し支える~私たちにできること~」
講 師 おかやま発達障害者支援センター 所長 河 本 茂 美 氏 配布資料
・おかやま発達障害者支援センターは、政令市の岡山市を除く岡山県内の発達障害のある方が日々地域の中で生き生きと生活するにはどうすれば良いかということを一緒に考えさせていただいているところである。
・私どものセンターに相談されている人や全国的な傾向についても話しながら、発達障害の方を理解して支えるということはどういうことかと皆さんと一緒に考えさせていただきたい。
・レジュメと、レジュメにない資料をパワーポイントで示すので両方を見ながら、お聞きいただきたい。
・発達障害とはということから、センターや全国的な状況と発達障害の特性と、どう支えていけば良いか。
・発達障害といっても、いろんな年齢の人がいるので、ライフステージに沿ったものを。
・そして、地域支援、家族支援に触れて、最後のまとめという順に話したい。
・これは岡山県内地図で県域を示している。県内の人口は200万人弱と言われている。
・県内には、政令市である岡山市と岡山県の二箇所に発達障害者支援センターがあり、岡山市以外を担当している。
・本センターには、本所を岡山市に、支所を津山市においてある。
・発達障害ということであるが、発達障害者支援法に沿ったものとして広汎性発達障害。この中に自閉症スペクラムやアスペルガー症候群が含まれる。それから注意欠陥多動性障害、そして学習障害と分けられている。
・これの障害の上に知的障害を併せ持っている人もいる。また、単一だけでなく、合わせて障害のある人もいる。理解も支援も難しいという状況もある。
・発達障害ということで障害とあるのは、生まれつきの脳の障害であると言われており、親御さんの育て方が原因ということは全くないと言われている。
・ただ、育った環境が様々であるので、その環境によって現れて方に差異があると言われている。
・それと知的な障害の有無によってサポートが軽くて良いとか、たくさん必要であるとかというものではない。
・知的障害のない方でもサポートが必要とされている。
・発達障害は、いわゆる乳幼児健診の中で保健師さんが発達が少しおかしいと思われる数が、ここ数年増えている状況である。
・県の教育庁の方が、実態調査をしたものによると、この数年で発達障害という診断があるということでなく特別な支援が必要であると思われる子供の数が増えている。10%を超える子供が特別支援が必要であると言われている。小学校が12.6%、中学校で8.4%
・これが高校生になると発達障害という診断はないけれども支援が必要な生徒が増えている。県立高校では3.9%
・学生支援機構という専門学校や大学を対象とする調査によると、障害のある学生の数(障害があるので支援が必要であると親御さんが訴えている学生)を見ても発達障害のあるという方は、ここ10年くらいで増加傾向にあると言われている。
・診断のある人と、ない人も含めるとかなりの人が大学にも進学しているという状況にあると思う。
・過去11年ぐらい当センターに来られている人の統計を見ると年によって増減はあるが、特徴的なのは成人期の相談が非常に多い。
・その人たちの傾向として診断の有無では、60.9%がある人で、診断のない人が37.3%となっている。
・診断がある人の中でいつ診断があったかということを調べると50%以上の方が19歳から35際の大人になってから初めて発達障害の診断がついたという人が多い傾向にある。
・大人になるまでは、色々と特性がありながらもなんとか家庭や学校で支えられてなんとかやって来られた状況である。
・手帳の有無を調べて見ると、手帳のある方が37%で、ない人が52.9%。ただ、手帳がある人のうち精神福祉手帳を持っている人が圧倒的に多い。
・ということで、知的障害の人も一定数いるが、ない人が数多く相談に来られている。
・どういうことで相談に来ているかというと、成人の方では就労相談が多い。
・就労している方は、一般就労からパート就労と様々で、未診断の方、診断はあるが隠している人、ある程度オープンにしている人、手帳雇用している人、就労しているが今は休んでいる人などである。
・発達障害がなぜわかりにくいかということについて考えて見たい。
・視覚障害、聴覚障害、身体障害の方々は支援の仕方がイメージしやすいという方に比べて、発達障害の方にはどのようなサポートをしてあげれば良いのかとい う時に、今は合理的配慮ということで必ずサポートしようということになってはいるが、どのようなサポートをすれば良いか、見ただけではわかりにくいのが発 達障害であると思う。
・特に知的障害の軽いタイプやないタイプの方で学校では特別支援の対象になりにくかった人、なんとか学校でやって来られた人もいる。
・しかし、大きくなると自主性が求められるようになって来て、例えば、大学生活ではかなり自主性が求められるようになってくる。就労生活に入るとさらに臨 機応変ということが求められてくる。そういうことから不適応になり、診断に至るという人もいる。これは見ただけではわかりにくいという状況にあると思う。
・発達のアンバランスを見て見ると、我々も得手不得手があるが、まずまずそこそこ平均値となっているが、発達障害のある方は、得意なところと苦手なところが凸凹てしている。このようなことはなかなか気づきにくいというところがある。
・氷山モデルというものがあり、水面の下の部分が大きいと言われており、ただ、我々はパッと見た時に水面から出ている部分で、例えば、癇癪が激しいとかパ ニックになるとか気になる行動があるなど様々な行動だけを見て叱ったり注意したり無くそうとしたりするが、実は特性のある人はもともと苦手さがあることに プラスしてその人の環境とか状況とかが相互作用を受けて水面上の行動が出ているということになっている。それを我々はパッと見て水面下のことが察せられな いことがあってご本人がしんどい思いしているという状況がある。
・次に、発達障害のそれぞれの症状について考えて見たい。
・広汎性発達障害といわれるものであるが、自閉症スペクトラム障害ともいわれおり、差異が不明確でグラデーションのようになっていて、ここからだとは言いにくいものである。
・大きく分けると、コミュニケーションが苦手であったり、対人関係が取りにくかったり、興味関心が偏っていたり、不器用な人もおり、知的障害の伴う人、伴わない人といるという状況になっている。
・cさんが友達二人と話し合っている。タダシくんが隣の家のガラスを割ってしまって謝りに行ったというこの画面を見て何か違和感がないだろうか。
・AさんがBさんにこの前にみたテレビの話を楽しそうに話している。どうやらBさんは困ったような顔をしている。これはどういうシチュエーションなのだろうか。
・例えばの例を示した。最初のCさんが困っている状況であるが、中には複数の人が同時に話しかけられると誰が何を言っているのか、誰の話に答えれば良いのかということがわかりにくくて困ってしまっている。
・色々と話があって、わかって答えたいと思った時には次の話題に言っているということでこういう会話が苦手でなんとかなく集団に入りにくいという状況があったりする。
・それから一方的に話していて相手が困った顔をしている。もうそろそろ夕食の準備をしないと思っても楽しかったことを相手に聞いてもらおうと一方的に話してしまう。
・それから、おじさんに子供が謝っていたが、言葉ではごめんなさいと言いながら、表情が断るようなものになっていない。
・コミュニケーションや表情の表し方が適切な対応ができにくいということもあり、自分の思いがうまく伝えられない、関係が取りにくいという状況にあったりする。
・例えばこんなサポートという一例であるが、例えば複数の人に同時に話しかけられると混乱してしまうという例であれば、一人ずつとか、なになにさんと声をかけて話しかける。
・一方的に話しかけてくる場合は、今日はこれについて話をしないかというように予め話題を決めておくというのも一つの方法である。
・色々と話され、よくわからないと思ったら、本人の話したことに少し区切りを入れて「今話していたことはこういうことでよかったかな」というように整理したり、視覚的にメモで示したりすることも一つの方法。
・本人の言葉を字義通り受け止めず、思いを察することも必要で、うまく相手に伝わるように話すことが苦手な人もいるし、謝り方が下手の人に、悪いというのではなく、その思いを察してあげることも必要ではないかと思う。
・とはいえどのように振る回っていけば良いのかという人がいる場合は、謝る時にはニコニコせずに頭を下げて「ごめんなさい」というとか、相手の目を見るの が苦手であれば顎のあたりを見て謝るように、相手に誤解されにくい、失礼にならないような方法を教えてあげることも必要。
・本人が努力して頑張ればと言っても難しいこともあるので、キーパーソンになる方がおられるのであれば、その人と来てもらって本人が何を言いたいのか、何を伝えたいのかということを代弁していただくということもいるかなとも思う。
・我々が気をつけないことは、相手に話していることが伝わっているはずだと、わかっている筈だと思わない、思い込まないということも大事である。
・我々が本人にわかりやすい伝え方ができているのだろうかということを自分自身振り返って見ることも必要である。
・それと、話し方ばかり注意されると話すこと自体が嫌になったりすることがあったりするので、ちゃんと聞いてもらえたと本人が思ってもらえるような対応をすることも大事。
・小さい子供が、お母さんにおねだりしたいのだが、はてなと考えているような図であるが、どう考えれば良いか。
・もう一つの例として、大人の場合で、上司に「しっかりしないとダメではないか」とか「君はやればできるのに」と言われるが、言われた本人はモヤモヤとしている。
・最初の男の子の場合は、お母さんが怒っている、怖い顔をしているのは分かるのであるが、何でということがわからない。何で怒っているのか知りたいとは思っている。
・ただ、お母さんが怒っている今はおねだりすることはやばいということを察知してやめようということまでには至らなくて、なんで怒っているのだと言ってさらに怒られる。
・先ほどの上司の例では、「しっかりしなければ、やればできるのに」ということは上司が非難しているのではなく、ハッパをかけようとしている。期待を込め て言っているのであるが、本人は「ダメではないか」「しっかりしていない」と言う所のに汲み取って傷ついてしまっている。
・人との距離の取り方として、自閉症の方は殻にこもって人との接触を好まないというイメージが一頃あったが、そういうことはなく、友達になりたいと思っている人はたくさんいる。
・ただ、その関わり方が少しわかりにくかったりして誤解を受けることがある。
・例えば、小学一年生の子供さんが大人から友達は誰かと尋ねられたら、一番よく遊ぶAちゃん、Bちゃん、Cちゃんと三人ぐらいを答えるだろうが、聞かれた本人としてみればお友達はイコールクラスのみんなというような30人40人のみんなの名前をいうこともある。
・それから高校生くらいになった方でも、一番よく話す友達という方がいるが、例えば大学に行くことになったら、皆んな離れて行くが、仲良くしていた友達が別れて行くことがなかなか理解できなくて、手紙がこない、メールが届かないとなぜか分からずしんどくなってしまう。
・一番自分にとって近しい人、その次が家族、その次にクラスの友だちという風に輪が広がっているが、それが学年が進んだり、高校へ進学して行くとその輪に入ってくる人が変わってくるのだということをこのような図式化して教えてあげることも一つの方法ではないかと思う。
・誤解や勘違いで疎遠となり、〇〇さんは友だちだったのに嫌いという訴えがあった時に、どう私たちが対応すれば良いかという場合、〇〇さんが遊ばないよう になって大嫌いになったんだねというのでなく、〇〇さんが大嫌いというような気持ちになったんだねというように本人さんの気持ちの部分に共感してあげると いうことが大事である。
・それから「だめ」という禁止だけではなく、「そうしたらどうしたら良いのかな」ということも必要ではないか。
・私たちは、本人を納得了解させようとして言葉がけをするが、言葉がけが多ければ多いほど情報量が多くなり混乱してしまうということもあるので、シンプルの伝えること、言葉だけに頼らないということも必要で視覚化しながらというのも一つのサポートの方法かとも思う。
・Eさんいつも一生懸命仕事をしているがいつも残業になってしまう。状況把握ということで、次の図ではどういうことを思うだろうか。
・トラックと自転車がぶつかり、怪我人が倒れている。運転手は電話ボックスに急いでいる。電話ボックスの側の人はこちらだと手招いている。そうした様子が普通であれば理解できるであろう。
・ところが、状況把握の苦手な発達障害のある人の場合は、りんごの箱が散らばっているりんごの数を数えたり、電話ボックスを教えていた人の手は葉っぱを千 切ろうとしているとか、バスステーションのスタンドが曲がって倒れているなどに目が向いて、この絵が全体にどういう意味を表しているのかということがわか りにくいということがある。
・先ほどの一生懸命仕事をしていてもなかなか終わらないという人の例では、優先順位をつけにくいということがあったりする。見通しがつけにくい。
・それから、臨機応変が苦手、ちょっと置いておくとかが難しかったり、気になることに注意が向いて作業が中断したり、指示が入りにくかったりすことがある。
・サポートであるが、「頑張ってなんとかしろ」ということではサポートにならないので、優先的にすることを順位をつけて、締め切りの早い順、作業量の多い順とかなどツールリストに書いて置くのも一つの方法である。これを本人にさせる場合もあり、支援者が手伝うこともある。
・それから、全てを提示するのではなく、一つを出しできたら次をというように一つずつ出すようになるとか、気にする場合には目に入らなように片付けておくというのも良い。
・見通しが持てやすかったら良いのだが、見落としができない場合は、最初に予定変更はあるかを誰かに確認するとか、自分で黒板をみて確認するなどを習慣化させることも。
・A子さんがB子さんに「あなた、最近太ったね」という。どう思うかとも考えずに。
・こちらの子供はサリーちゃん、あちらの子供はアンちゃん。サリーちゃんはカゴを持っており、アンちゃんは箱を持っており、サリーちゃんはビー玉を持って いてビー玉をカゴの中に入れた。それからサリーちゃんは外へ遊びに行った。アンちゃんは部屋に残っており、サリーちゃんがいない間に、アンちゃんはサリー ちゃんのカゴの中からビー玉を取り出して、自分の箱に入れた。そこにサリーちゃんが帰ってきて、自分のビー玉で遊びたいと思ったが、どこを探すだろうかと いうのが例題である。
・皆さんは当然お判りで、当然サリーちゃんはカゴを探すと思うであろう。ところが、これを見てアンちゃんの箱の中を探すと答える子供がいる。この絵の流れ からはアンチャの箱にビー玉が入っていることは分かる。しかし、サリーちゃんはアンちゃんがビー玉を箱に入れていることは知らない。当然、サリーちゃんは カゴの中を探すだろうと答える。サリーちゃんの気持ちを推測してそう答える。
・そうしたサリーちゃんの気持ちを推測して答えたりすることが苦手で、見たままのありのままを答えてしまう。
・想像力の持ちにくさということになってくるが、初めの絵であった「あなた、太ったわね」というのは事実であるかもしれないが、当然そういうことを言われ ると相手の人が傷つくとか、嫌な思いをするということが普通は分かる。それが分からず、思いのまま「太っている」と言ってしまう。自分の言った言葉が相手 にどう伝わり、どう思われるかということが分かりにくいというなど、他者の視点に立つということが苦手になってくる。
・ただ、これは我々にとって瞬時に判断できることなので、これをいちいち説明しなくても理解できることであるが、そういうことが分かりにくいのだということを理解し、その場に適したように振る舞えるよう、そのようなことは言わないのだというルールを教える。
・それからよく目に入るものとか音に過敏な場合とか、不器用な人もいるとか、何か聞きながら描く、模写する難しいと人もいる。
・その場合、アンバランスの感覚というものは我慢すればどうにかなるというものではない。強いるということも練習で改善することでもないが、どうしても避 けられないこともある。例えば学校での避難訓練で大きな音が鳴るということを避けることはできない。何時間目の国語の時間にサイレンの音が聞こえるからね と事前に予告しておくということはできるし、30秒ぐらい鳴るがそのあとは止まるから大丈夫だと教えておくとなんとか耐えられる人もいる。
・そうは言っても気になってたまらないという人には、できる範囲で刺激の調整をしてあげる必要がある。
・学校では、席を一番前にするとか、掲示物をできるだけ少なくして目に入らないようにするということもされている。
・広汎性発達障害のある人の強みということだが、全体より細部に注目する。見ることや聞かねばならないことがわかっておればきちんとできる。興味のあることに注意が行きやすいということも伝えたい情報が分かればそれに興味を持てる。
・見通しがあれば安心ということもいつもとどこが違うのかということが分かれば安心ということで、全くいつも同じでなければダメということではない。
・一つずつこなしていくことが得意なので、一つしてはチェック一つしてはチェックというようなチェック方式の方が分かりやすいし、取り組みやすい方が多いと思う。
・場面と活動が一致すれば、その場に応じた活動ができるが、臨機応変にということが苦手な人が多いので、やはりこの場面ではこういう活動にまたは言葉を使 おうとかこの場面でこういうことをしようというように、場面と行動、場面と言葉など、それぞれに一致されて覚えさせてあげるという、たくさんの引き出しに ファイルをしまっておくというようにしてあげる。
・それから一度獲得したことは正確にこなせるということで、つまりきちんと決まったことができれば、強みで、私たちよりもはるかにきちんと最後までできるということは得意である。
・ここまでが広汎性発達障害のことをお話しした。
・二つ目は、注意欠陥多動性障害のことだが、これは字の通り、不注意で衝動的であり多動である。
・幼児期の頃にこういうように動いてじっとしておられないのを指して多動であるというかというとそうではない。
・年齢相応に周り子供さんがそろそろ落ち着いて作業に取り組めるようになっているのに、ジッとしておられない、落ち着かれないという、年齢に似合わない、不釣り合いな状況が見られた時に診断がつくということになる。
・常にどこかが動いているとか、お話が最後まで聞けないとか、お部屋が散らかり放題とか、段取りが難しいとか、ミスが多いなど様々な状況がある。
・これが一つ二つあるが、私もかということではない。どれかを取ればどなたでもあるであろう。
・これらが日常生活に支障を起こすほど、年齢に似合わないような状態であればということになる。
・これは、本人がよくわかっている。分かっているがコントロールできないということが、しんどさに繋がってくる。
・このような人へのサポートとして、例えば多動性の方に対しては、刺激を減らすということ。
・いろんなことに興味を持つという良さもあるが、それにとらわれるすぎてしなければならないことが後回しになる。
・なるべく短時間で済ませる。短期集中が得意な方であるので、長く頑張るというのでなく、小休止を入れながら短期集中を繰り返すというやり方の方が良い。
・それからルールを視覚化するということで、口頭でいうというだけでなく、目に見えるようにして置いたり、予告しておく。そしてできた時、守れた時、頑張れた時にちゃんとフィードバックするということをちゃんとしておくことが大事である。
・不注意に対しては、目につきやすいように印をつけるとか、大事なものはここに置くとか決めてあげると良いが、ただ、決め事が多すぎるとそれが刺激になって余計見れなくこともあるので、精査して最低限これだけはというものにする。
・メモを取らせることもよく言われること。大事なことはよくメモにして置くようにさせる。
・何かに没頭していると気がつかないということもあるので、アラームなど音が鳴るようにしてあげるとか、残り時間後何分というタイムタイマーなどにより視覚的に見せるというやり方もある。
・大人の場合、不注意が続くと仕事に支障をきたすことがあるので、誰かにダブルチェックをしてもらうということも必要。
・注意欠陥多動性障害があると言われると、多動で困ると思われるが、逆に考えられる色々なものに興味関心があるし、何よりもフットワークが軽いとも言える し、気持ちの切り替えも早い、人付き合いも良いとか、短時間の集中力が素晴らしいという特性もあるので、それを生かした対応することが我々の役目だと思 う。
・最後に、学習障害であるが、知的な遅れはないのが、読む書く聞く話す計算する推論するなど特定な能力の獲得と使用に著しい困難さがある人である。
・これも非常にわかりにくいと思う。
・この文章(句読点のない長い文章)を読んでみてほしい。読むことが苦手な人はこのような感じで文を読んでいるのではないかと思う。
・読むことの障害のある方は、どこで区切って読めば良いのかわかりにくかったり、単語や文節毎としてまとめて読むことが苦手。
・この障害は、学校年齢になって気づかれることが多い。したがって、個別的な指導もいるし、たくさんすればできるというものでなく、その人にとっての書き やすさとか、読みやすさ、文字を大きくするとか、間を開けてあげるということも必要である。また、見ながら書くということが苦手な場合は、ノートヘルプと 言って一部の大学では取り入れられているが、本人に変わってノートを書いてあげるとか、デジガメで板書を撮影して置くなどの工夫もされている。
・学習障害の人は、読む書く聞く話すなどの面で困難さがあるが、それ以外の分野で才能を発揮されている人もいる。創造力が豊かで制作が得意であるのでその面を伸ばしてあげる。また、繰り返しゆっくりと努力することで身につくこともあるので、頑張り屋さんになっている。
・ライフステージに沿って話したい。幼児期などの子供時代には、先ほどから話している状況から考えると、大人のいうことがよく分からないとか、自分のいう ことが伝わらなくてイライラするとか、何かわからないが怒られたとか、動きたいのに止められてしまうなど、いろんなことの状況が捉えられなくて不安で怖い ということがある。
・親の場合は、兄弟を見ていていずれ大きくなれば治るだろうという思いもあるし、親は気になっているが、祖父母の理解が得られないとか、ということもある かもしれないし、検診の時に少し様子を見ましょうとか気にしすぎですよと言われたりするとか色々と言われると悲喜こもごもになる。特に初めての子供の場合 比較対象がないだけにとても色々な思いを持たれると思う。
・こうしたことで悪循環になっている場合もある。
・母親の育児不安ということであるが、それは当たり前のことであると思ってもらった方が良いのではないか。逆に不安ということが子育てのためのチャンスに なる。不安になった時に注意して子供を見るとか、自分の接し方を少し変えて見るとか、子育ての情報を収集するとか、誰かに相談して見るという機会になる。母親なのにと思い悩まれることはない。
・親の育て方や環境の要因でなるものではないし、薬や訓練で治ってしまうものでもない。それでも早期の相談や療育で大人になり、生き生きと生活されている人もある。
・発達の状況から見て、普通の子供さんより少し練習することが多い。しかし、多いから感張りなさいというのでなく、優先順位とか、少しずつ、焦らず本人の ペースに合わせてゆっくり具体的に丁寧にということが必要であるし、本人がわかったか、できたかを実感できたかと大人が確認しながら進めていくことが大 事。できたら、きちんと褒めてあげることが大人の関係の上でとても大事である。
・家庭での幼児期では、身辺自立をさせる上で大事な場である。それぞれの子供のペースでやれるという場であるので、身辺自立と生活リズムを。それからお手 伝い。これは本人がやりたいことをさせる。できたら「ありがとう」と大人から感謝される経験を。少し大きくなるとお小遣いをお手伝いの報酬としてもらえ、 それを貯めていくという金銭感覚を身につける場ともなる。また、ルールを守るということで約束したことは守ろうねということを小さい時から経験させて置 く。そのためには大人が破らないこと。
・入園就学時期になると、学校との協力というのがとても大事になる。少し気になるということを学校の先生の方にも伝えて置くことも必要。先生に少し注意し て見てもらうという意味で伝えて置く。気になるサインがあると学校の先生と共有して置く。なんとなく元気がないとか、行き渋りがあるとか、準備に時間がか かるとか、癇癪が多くなったなど。
・学校は教育の専門の場だから任せておけば良いのではなく、学校と家庭がそれぞれの支援者という立場で連携していくことが大事。
・思春期なのだが、どの家庭の子供にとっても乗り越えるのは大変である。資料にあるような反抗期、友人関係、親離れなど色々と問題が生じる。
・特に第二次性徴とか異性の関心は、発達障害の有無で変わることはない。可愛い女の子に対して好きという気持ちは起きる。少し対人関係の取り方が下手であったりするので、年齢的に求められる、相手に誤解されない程度の関わり方やマナーを教えておいてあげると良いと思う。
・自意識が高まってくる、プライドが出てくるので、周りと同じようにしたいとか、特別扱いは嫌だと思ったりすることもあるが、周りからどう思われているの かを客観視することが苦手であったりする子供もいるし、相手の言っていることを誤解して被害意識が強くなったりということもある。
・誰とも通ってくる思春期ではあるが、特にしんどいとか不安になった時に、本人の気持ちに共感し、聞いてあげる。制止するのではなくまず共感的に聞いてあげるということが大事である。
・この時期の親はなんであるのだろうかと言われることがあるが、子供と同じように親も変化してきているので、少し子供と距離をおいて子供と歩くとか、少し見守っていくことが必要。
・大きくなるの連れて、親が子供の前面に立つことは少なくなるが、社会との関係で子供がうまく適応できるように親が潤滑油の役割を持つのだという認識を。
・中学校から高校へということで、高校は義務教育ではなく高校選択はとても重要なことではあるが、進学先を選ぶ場合、本人がいきたいと思っているかどうか ということがとても大事である。行きたい高校についてリサーチして置く。入学した時はできるだけ早い時期に学校の先生に配慮してほしいことを伝えて置くこ とが良いスタートをきる方法かと思う。
・高校を卒業して進学や就労するが、就労する際にもこの高校の三年間だけでは就労の準備が整わないので、本人の状況によってはもう少し長い時間をかけて就労準備をするのも一つの方法であるので、そのために相談機関との連携も必要と思う。
・よく言われるのだが、高校生になりもうすぐ社会人になるので、あまりサポートは受けられないから自分でやりなさいと言われるが、果たしてそうであろうかと思う。
・得意なこと苦手なことなど様々あるだろうが、それぞれを整理して難しいことや苦手なことは頑張ってもできないことも多いので、こんなことをサポートして もらえばやれるのだということを周りに理解してもらうことも大事なことであると思うので、学校の先生と本人、家族と共々に振り返って考え対応していただき たいと思う。
・高校では大学への進学や就労だけでなく、それぞれが地域での生活や職業生活ができるかということを考えるステージであると思っている。
・進学先への連携も大事なことで、大学の方でも発達障害のある学生への対応も始まっている。当たり前のように大学へも進学していく時代であるので、大学の 先生も事前にその学生の様子が理解できておればそれなりの対応ができるので、早い時期に情報連携しておくことが良いと思う。
・最後に就労ということになる。
・初めにも言ったが、臨機応変さ、自主性や自律性を求められる場ということになる。
・様々な特性からくる苦手さから不適応を起こすこともある。特に障害を隠して働いている人とか、未診断であるが発達障害の特性があるかなと言われる方の場 合は、特別な配慮をしてくださいとは言えないので自分で頑張っているということになる。特に成人期になってわかった場合、とてもしんどい状況になってい る。
・それまで、学校へ行っているときは、そこそこに生活できていたが、就労すると色々と求められることがたくさんになったり、レペルが上がったり、安定してきたところが揺らいできたりするので、生活のリズムを整えたり健康面の安定が大切になる。
・本人が学校生活と社会人としての生活の違いをどのくらいイメージしているのかを調べた時に、あまりイメージができていないということがある。
・学校では学生であるが、仕事に行くと社会人になり、社会人としての心得が求められる。学校は勉強を頑張れば良いが、社会人になると自分が頑張っているということだけでなく、利益や結果が求められる。その違いを知っておくことも大事。
・働くことで大事なコミュニケーションとしては「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)とか、「今ちょっと良いですか」というクッション言葉とかそういうものが必要である。
・就労期間の相談として、若年を対象として相談機関もあるので、そちらで相談することが大切である。
・家族支援のことを話したい。本人さんを今でなく、一生を見ていかなければならないと思っている。また、本人も大変であるが、それを支える家族の方も大変であるのでそれを支えていかなければならないと思っている。
・発達障害のある子供さんの親御さん像を表して見た。やはり育児ストレスも高いし、やってもやってもうまくいかないということで自信がモテない若い母親もいる。とても大変な思いや苦労をされている。
・私どもの発達障害者支援センターでは、ペアレントメンター派遣事業というのを行なっている。
・ペアレントメンターとは、発達障害のある子供を育てた先輩の保護者である。県内の発達障害の親の会に所属されている人で現在31名が登録されている。
・センターの職員がどんなに努力しても発達障害の子供を育てた親御さんのようにはなれない。メンターの人は実際の育てた方であるから、そうよそうよと共感的に聞いてあげられる。
・ちょっと先を行く先輩保護者ということで、経験したことのある学校の様子とか、支援のヒント見通しを出してあげることができるので、若い親たちにとっての大きな支えになっている。
・診断のことであるが、診断があったからと言ってすぐ解決するものでなく、支援のスタートラインということと、特に大きい成人期の方の場合は何か生活や仕事の上でしんどくなっていて診断により気づくようになる。
・それから身近な地域でということだが、県内には発達障害支援コーディネーターという方がいる。岡山市を除く27市町村のうち、18市町村にいる。来年度 には3市町村に配置される。こういう方々は、支援の窓口をされているので、身近な地域におられればそこに相談にいかれると良い。
・岡山県内には、発達障害児・者の親の会連携協議会という緩やかな連携がされている。本人、家族、学校、支援者のそれぞれが連携して活動している。
・保護者と繋がるということで、まず最初は困っている保護者の苦労を労うことが大切。保護者の思いを共感的に聞いてあげる。周りから色々言われて困っている保護者にはできているところと良いところも指摘し、その上できになるところも話すようにする。
・保護者と支援者との関係で大切なことは、支援者が本当に我が子のことを考えてくれていると保護者が思ってくれていることがまず第一である。支援者にも色々と課題があるので、一人だけで考え悩まないこと。
・何よりも大切なこととして、本人が受け入れられているという感覚、自尊心。大人の援助を受けるとうまく行くという感覚を小さいうちから育てて上げておくことが大切。
・それから、できるだけ叱られずに済む、失敗せずに済むためには大人がどのようにサポートして上げたら良いかということを考えてあげるということ。
・それと、得意なことをいかせることが大事なことであるが、苦手なことがあってもこんなサポートをしてもらうとうまく行くんだよということも必要である。 大きくなってきたら、「先生、いっぱい言ってもわからないから、ゆっくり言って」とか「書いてみて」ということが自分の口から言えるようになると良いので ないかと思っている。
・周りに良いモデルがあるということも大事なこと。第一歩が親がまず良いモデルになる。
・もう一度、確認しておきたいこととして、発達障害があることが問題ではなく、また、本人や家族のせいではないということ、発達のアンバランスや得手不得 手で生活に困難があり、しんどい思いをされているのを、成長の折々に周りから支援することによって、地域社会や職場で安定して過ごせるようにすること。
・発達障害のある方は、いつも思っているのだが、非常に真面目で何事にも一生懸命で、ピュアな心、デリケートな心を持っておられる。ただ、特性からくる周囲の状況がわかりにくいことから人一倍傷つきやすいところがある。
・だが、彼らのわかる、できた、できるという自尊心を小さいうちから高めてあげることが何よりも大事であり、それができていると大人になっても生き生き生活されている方がたくさんおられるといつも思っている。
・質問にあった視覚化のことについて、構造化の事例を示しながら説明。
質疑の回答
・質問の文章を読んでの回答ということであるので、十分な理解ができない中での回答をお許しいただきたい。
Q1 特別支援学級の先生からの質問で、ADHDを伴う広汎性発達障害の子供さんが思い通りにいかないと暴言を吐いたり止めるとすぐに興奮する。特定の相 手に対して悪い感情を持ち続け、すぐに怒りのスイッチが入ってしまう。怒りのコントロールす方法や対応を教えて欲しいとのこと。
A1
確認したいこと | 対応(案) |
・思い通りにいかない要因は? (指示理解、スキル、いつするかの見通し等) ・本人にあった学習指導は? (難易度、本人の可能な持続時間、落ち着ける環境、好きな(得意な)活動は?) ・特定の相手とは? どんな場面でトラプルが起きやすいか? ・医療は? |
・集中時間の調整(活動の合間に短い休憩を入れる) ・見通しや興味を持続させるためのスケジュールの工夫 ・トラブルが予測される場面で 相手の子供と物理的に離す 困った時のSOSの出し方を教える。 (Tを呼ぶ、手を挙げる) ・タイムアウト(廊下、別室、個別スペースの確保) ・怒りの度合いを視覚化してみる。 (レベル、感情表情等) ・落ち着いて過ごせている時、いつもより我慢できた時に即時にフィードバックする。 (落ち着いている状態を体感する、周囲に認められる行動を意識する) |
・この質問で確認したいと思ったことがある。例えば、思い通りにいかない要因は何なんだろうか。言われていることの意味がわかっていないのか、求められているスキルが伴っていないのか、見通しがないのかなどの背景を考えてみる。
・授業がわからないという場合は、本人に合った難易度なのか、ADHDの傾向がある方であるので、集中持続の時間はどれくらいか、本人が落ち着ける環境がどんなものか、できない、難しい不得意ということはわかるが、逆に好きな得意な活動は何かあるのか。
・相手の子供はどんな子供でどんなことでトラブルが起きやすいのかを確認すること。
・それから医療の方はどうなのか。
・対応としては、分からないで言っているのであるが、本人の集中時間、頑張れる時間がどれくらいであろうかなということで調整する。
・見通しや興味を持続させるためのスケジュールを工夫するとか、頑張る頑張るでなく、頑張る、お楽しみ、ちょっと頑張るなどのスケジュールの組み方を考えてみる。
・トラブルが予想される場面で、物理的に相手の子供と離すということもあるし、暴力、暴言ではなく、訴え方、SOSの出し方を教えて挙げることも必要。
・そうは言ってもしんどい場合は、タイムアウトの方法も必要であるかもしれないし、怒りのコントロールということであるが、「今日はどれくらいのイライラ度」とか「落ち着いている」とかを十段階でどのくらいの気分と視覚的に示して挙げる。
・全く落ち着いていない訳でもないであろうから、いつも無茶苦茶している訳でもないであろうから良いところをフィードバックして挙げることが大切。
・いつもこの子供は、周りから乱暴すると思われていることはよくないので、この子供が活かせるところ活躍できる場面を是非作ってあげて周りにも認めてもらえるように働きかけること自尊心をくすぐることも必要である。
Q2 次に保護者の方からの質問で、こだわり行動があるのでどうしたら良いかというものである。かなり年齢が高い方である。入所しており、コミュニケーションがあまり得意でなくて声を発するくらいで、こだわり行動として紙おしめをトイレに流すということである。
A2
確認したいこと | 対応(案) |
★こだわりについて ・流れて行くこと、流す行為に興味がある? ・トイレットペーパーは流すのか? ・トイレが詰まることは理解できていない? ・トイレの中にあるものは目の前からなくしたい? ★コミュニケーションの難しさについて ★本人の興味が持てることは? |
・おしめ入れを別の場所にする。 ・便器ではなく、別の容器や袋に移す行為をさせる。(本人の興味のあるキャラクーやデザイン等も) (おしめ回収係) ・視覚的にバッテンなどで禁止を示す。 ・流す行為や流れていく光景への興味であれば、他の遊びや活動に興味を移す。 ・主治医への相談、服薬の検討 |
・こだわりについて、何にこだわっているのか、おしめにこだわっているのか、トイレにおしめが流れていくことにこだわっているのかとか、レバーを押して流す行為に興味があるのか、トイレットペーパーは流しているのか。
・そもそもトイレが詰まると困るということがわかっているのであろうか。トイレの中にある目の前に見えるものはなくしたいというように思っているのかなどと色々と考えられる。
・コミュニケーションの難しいということであるが、言葉で注意していると思うがどこまで理解しているだろうか。視覚支援は使っているのであろうかなど。
・他に本人の興味が持てることとしてどんなことがあるのか、医療はどうかなどを確認してみたいと思う。
・対応案としては、おしめ入れがトイレの中にあるのであれば、それを別の場所にするとか、便器の中ではなく、他の容器とか袋に移すという行為を一つ入れる とか、その時には例えば本人が好きなキャラクターとかデザインをその入れ物に入れたいという気持ちにさせるものに。おしめの回収係というか、回収して回る 作業させてみる。
・視覚的にということであれば、バッテンのマークで視覚化して理解させる。
・また、流す行為とか、流れていく光景に対して興味を持っているのであれば、そういう同じようなレバーを押すと音が出るとか、流れるとかそういう同じような操作ができる活動を見つけてあげる。
・主治医との相談も必要ではないかと思った。
Q3 最後にとても大事な意見をいただいた。早期発見で幼少期に療育に繋がることができてよかったとか、若い親たちへの良い助言があればとか、大人の中で 二次障害を起こしている人もいるが、小さい町で取り組んでいけることはないだろうかとか、地域の方々へ向けての発信はどうして行けば良いかという質問をい ただいた。
A3
・県の支援センターとしてということになるが、今、乳幼児期の支援体制づくりというものにも着手している。
・乳幼児期には、母子保健事業というのがメインになってくる。保健師さんを中心としたものであるが、その時に一歳半、3歳検診のところで特性を見逃したり あるいは見過ぎがあるのかないのかどうなのかとか、フォローなど、その時には分からなかったけれども少し大きくなって何か気になりだしたという時のフォ ロー体制ができているだろうか検討しようということを始めている。
・ライフステージに沿って情報の共有ということが大事てあるということを言ったが、今支援をされている方が次のステップの方にきちんと渡していくという仕組みづくりがとても大事であると思っていて、保幼・小への情報の引き継ぎという仕組みづくりに取り組んでいる。
・18市町村にいるコーディネーターが身近な地域で支援をしていただいているが、彼らの県の支援センターが連携しながら地域支援体制というものを考えている。
・それとは別に圏域でいろんな職種で発達障害者のキーパーソンという方が今おられて県に登録されている。保健師、保育士、学校の先生、医師など様々な方達である。
・そういう方々が身近な地域で支援をされているので、今後期待したいところである。
・それから今日紹介したペアレントメンターである。この人たちと支援セミナーや本日のような研修会で啓発に努めてまいりたいと思っている。
以上で講演が終了する。
3 閉 会
岡山県手をつなぐ育成会中島副会長から、今回の研修会は40回になる。長時間にわたり熱心に受講いただいた。講師の河 本先生には多忙中貴重なお話を賜りありがとうございました。日々学びながらと言われたが、たくさんの相談事例の中から相談支援のあり方やネットワークの大 切さなどわかりやすく説明いただいた。見ただけではわかりにくい障害のことを色々な視点から見ることやその対応や関わり方、見通しある接し方による安心、 ライフステージ毎の子育てのポイントなど学ばせていただいた。日々関わる私としてもゴミを集める自閉症の子どもがおり、みんなが食べ終わるのを待ってゴミ やパックを集めており、最後まで食べ終わるのを待っているので我々も早く食べ終わらねばと思ったりしているが、いろんな見通しのある接し方が安心に繋がる のかなと思っている。障害のある方々の暮らしが少しでもよくなるように今後ますます県の発達障害者支援センターにおかれてもご活躍されますようお願いし、 先生へのお礼と参加された皆さんへのお礼を申し上げ、閉会といたしますと述べ、閉会挨拶とされ、散会した。