2016年度行政説明会
2016年度 行政説明会
この内容を印刷する
平成29年3月2日(木) 13:15~
東京・鉄鋼会館 801会議室
開催要項
開会挨拶 全国手をつなぐ育成会連合会久保厚子会長
・今日から明日に向けて行政説明会とフォーラムと引き続いて開催する。
・厚労省の二課と文科省の三課から来年度予算の説明をお聞きしながら、我々の子供達の生活がどうなるかを想像し育成会として今後どう活動
を進めていけば良いかお互いの勉強の良い機会となればと思う。
説 明
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室長 高 鹿 秀 明 氏 配布資料
・最近の障害福祉の動きについて説明したい。
・障害福祉施設と予算についてまず説明したい。
・障害者が788万人で人口の6.2%に相当している。増加傾向にある。在宅、通所者が増えている傾向が見て取れる。
・高齢化、重度化も見て取れる。
・障害福祉制度の歴史的な流れについて説明。
・大人の障害者福祉サービスで、まず居宅サービスについて一月で166,000人の人が利用されている。グループホームの場合は、一月で106,000人の人が利用されている。
・障害児のサービスを見てみると、学齢前の発達支援では、85,000人が利用されている。放課後デイサービスについては、140,000人の人が利用されている。
・平成28年10月段階で障害者、障害児のトータルで1,400,000人の人が利用されている。
・昨年から比較すると7.2%も伸びているという状況である。特に伸びているのが精神障害者の9.1%とか障害児の18%と大きく伸びている。
・予算も10年間で2倍以上の伸びとなっている。29年度で国のベースで1.2兆円。地方負担分を入れると2.4兆円となっている。
・平成29年度の予算の内容について説明
・総計が、1.75兆円を計上している。
・地域生活支援事業については488億円、農福連携就労支援事業には11.2億円。芸術文化支援には2.5億円。
・障害福祉人材への処遇改善ということで平成29年度に臨時の報酬改定により129億円の加算を行なっている。
・障害者総合支援法の三年後の見直しについて昨年の通常国会で承認されたもので三本の柱となっている。
・まず、一つ目は障害者が望む地域生活の支援。二点目が障害児支援の多様化に対する細かな対応。三点目がサービスの確保、質の向上へ向けての環境整備。
・一号をのぞいて、施行日は、平成30年の四月一日となっている。30年度の報酬改定に合わせて実施されることになる。
・障害者の地域生活への支援(自立生活援助)の内容であるが、グループホームから単独で一人暮らしのためアパートへ移住した場合の定期的な訪問支援により地域生活への定着を促す。
・もう一つは、新しい就労定着支援として、この対象者は就労移行支援を経て一般就労した人で就労に伴って生活上の課題が生じている人に対して家庭への訪問 とか事業所への訪問などにより、欠勤や遅刻、早退の有無、職場環境での人間関係の問題有無、生活上の課題についても相談に応じるサービスを新たに創設し た。
・そのほか、重度訪問介護範囲の拡大により入院した場合に入院先にも行くことができるように法改正した。
・65歳以上の介護保険優先適用原則の見直しにより介護保険事業によって一割負担が生じた場合、一定条件を満たした場合には障害者福祉の側から償還す るという仕組みを今回法改正を行なった。その対象者として65歳に到るまで相当長期間障害福祉サービスを利用していて、一定の障害区分と一定の収入基準以 下であればその負担金額について償還することとしている。
・これらの具体策については審議会などの審議を経て政令でお示しする予定。
・次は、障害児関係の法改正である。
・一つ目は、新しいサービスとして創設。現在は、通所型児童発達支援となっているが、最近の医療の発達により長期間入院していた子供が在宅したという病弱な重度又は重症心身障害児へ家庭まで出向いて発達支援を行うもの。
・もう一つは、インクルージョンのため保育所等訪問支援の対象の拡大を図った。これまで、乳児院や養護施設はこの対象に入っていなかったのを対象として拡大した。
・医療的ケアの必要な障害児が、今回の法改正で児童福祉法の法内に規定された。これにより、医療、福祉、教育の連携が図れるようにした。
・次は、障害児の福祉計画を都道府県、市町村で作ることが義務化されるよう法改正がされた。
・補装具についてこれまでは購入ということになっていたが、貸与ということもできるようにした。
・最後の三本目のサービスの確保と質の向上については、障害福祉サービスの透明化ということで第三者の目に晒すということで質の向上を図るというもの。障害福祉サービスの情報公表制度を新たに構築した。この仕組みは介護保険とか子供支援で導入済みとなっている。
・相模原事件に係る件。検証のための検討チームを設置。昨年12月に報告書を公表。5点の改善提言。
・共生社会推進への取り組み
・2から4については、精神科医療への提言。これに基づき精神保健福祉法が改正される見込み
・社会福祉施設においての対応ということで、大前提として地域に開かれた施設ということと安全を確保を両立させる。防犯、防災の観点からチェックリストを 作成し配布している。又、元職員の凶行ということであったので、職員研修のさらなる推進と職場環境の改善を国として取り組むべきであるとの指摘があったの で、施策を進めている。
・精神保健福祉法の改正関係は省略
・施設から地域への以降について、資料の通り施設入所者の数は右肩下がりとなっている。
・グループホームの利用者は、反対に右肩上がりとなっている。
・こうした現状を見て、平成30年度から第5期の障害福祉計画が実施される。合わせて障害児の福祉計画もスタートする。
・地域移行への成果目標が十分に達成できていない原因としては、障害者の高齢化が要因となっている。
・地域生活拠点の成果目標として市町村に一箇所以上整備することとしていたが、20市町村ではできていて、なかなか進んでいない。これには二つの型がある。一つは多機能型。もう一つは相談とか緊急対応に得意とする事業所が連携した面的整備型がある。
・就労関係の成果目標として、まず一般就労への移行は現在の福祉計画では2倍以上としていたが達成できそうである。
・しかし、伸びが鈍化してきているので、次期計画では1.5倍以上としている。
・就労定着支援についても成果目標を次期計画から盛り込む。
・次期障害児福祉計画の成果目標としては、児童発達支援センターの整備を各市町村に一箇所以上に。
・次に保育所等訪問支援についても全ての市町村で実施できるように。
・医療的ニーズの高い障害児については、重度障害児の児童発達支援センターを各市町村又は圏域に一箇所。
・医療的ケア児については、各都道府県、各市町村において協議できる場の設置を。小規模市町村については、周辺自治体とともに。
・これらの計画を指針として今年度末に示し、各県各市町村で障害福祉計画の作成を来年度取り掛かってもらう。
・厚労省では、現在地域生活づくりという共生社会の実現の取り組み「我がごと・丸ごと」を行なっている。障害者・高齢者、子供や生活困窮者も含めた福祉の課題について、我がごととして丸ごと解決していくという取り組みをこれから進めていこうとしている。
・この中で障害児者については複合的な課題への相談支援を進めていくことと窓口の一元化に。また、共生型サービスの創設ということで、介護保険法の改正に より新たなサービス類型を作って、障害福祉サービス事業所が介護保険サービスを、介護保険サービス事業所が障害福祉サービスができるよう相互乗り入れを実 現。65歳以上の問題への対応が可能になるようにした。
・地域移行並びに地域定着の相談支援について、計画より相当下回っている。報酬改定に含めて改善を図る。
・相談支援の質の改善検討委員会を昨年設置。人材育成の方策では相談支援専門員の要件である研修や実務経験年数の見直し、指導的役割を担う主任相談専門員 を新設をなどの提言を受けた。高齢化に対する障害者専門員と介護専門員の連携も指摘された。相談支援の役割としても基幹相談センターが全国市町村の4分の 1しか整備されていない。積極的な整備をとの指摘もあった。
・障害者虐待対策については、三年半が経過。養護者の虐待は横ばい、障害福祉従事者による虐待は右肩上がり。法の趣旨が浸透してきたことによるものではないかと思っている。今後も根絶に向けて研修の充実を。
・成年後見制度について、親亡き後のことと、利用促進法の成立により政府としても利用促進基本計画を策定することとしている。これを踏まえて各市町村で計画を来年度立案してもらうことになっている。
・財産管理が重視され、身上看護が十分でないとか、補佐、補助より後見類型へ向けられることが多いなどの指摘があるので、改善。
・成年後見の地域連携ネットワークの構築も必要。発見と相談、チームによる支援。不正防止の仕組み作りなどの提言があった。
・障害福祉保健部としては、障害者については法人後見が望ましいと考えて進めている。
質疑
・市町村の実施能力と共生型サービスについて
A
・障害福祉サービスの提供に当たっては市町村の役割と力量が問われる仕組みになっている。相談支援の質向上検討委員会の中でも指摘があったが、市町村職員 による支給決定能力の向上が必要であるという提言を受けた。この解決策としては各県の研修の充実と情報提供。地域共生づくりのために作られたものが共生型 サービス。他にも各種の取り組みがある。それぞれのサービスができると言ってもごちゃ混ぜになり質が低下してはならないよう専門性は確保するよう基準作り を行なっていく。
厚生労働省職業安定局雇用開発部 障害者雇用対策課長 尾 崎 俊 雄 氏 配布資料
代理 主任障害者雇用専門官 丹 羽 氏
・障害者雇用の現状と課題について、お話ししたい。
・障害者雇用の現状について、障害者788万人のうち18歳から65歳未満324万人。
・障害者雇用状況として民間企業においては2.0%障害者を雇用しなければならないとなっており、雇用者数が47.4万人。そのうち知的障害者が10.万人。雇用者数は13年連続で過去最高を更新。実雇用率が1.92%
・先ほどの雇用数は重度者一人を二人として加算したもので、実人数とすれば、38.6万人でそのうち知的障害者の重度以外が7.2万人、重度の地域障害者が2.1万人となっている。
・ハローワークを通しての職業紹介について、知的障害、精神障害、発達障害ともに増えてきている。
・改正障害者雇用促進法について、二つの改善点があり、一つは障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応として障害に対する差別禁止、合理的配慮の提供 義務と苦情処理・紛争解決援助が定められ、もう一つとして、法定雇用率の算定基礎の見直しがされ、精神障害者も算定基礎に組み入れられた。
・差別禁止指針と合理的配慮指針が示され、具体的な事例が紹介された。
・一億総活躍社会について、平成28年度においては地域就労支援力の強化等による障害者及び企業への職場定着支援の拡充と多様な障害特性に応じた就労促進の推進並びに障害者の職業能力開発支援の強化などが実施される。
・障害者就業・生活支援センターは、330箇所整備、ジョブコーチの配置数が1,085人、支援対象者数が3,574人で職場定着率(支援終了後6ヶ月時点)が87.6%。
・精神障害者や知的障害者を対象にハローワークを中心としてチーム支援を実施。3万人の支援を行い、半分の人が就職。
・平成29年度においては、多様な障害特性に応じた就労支援の推進、障害者及び企業への職場定着支援の強化、障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供に係る事業主と相談支援を重点に307億円の予算を計上している。具体的な内容は略
質疑
・NPO法人を運営しており、その法人に障害者を雇用した場合に助成していただける制度はないか。
A
・NPO法人へというものはないが、資料の中にお示ししている助成制度を活用していただければ良い。詳細は、ハローワークや労働局に。
Q
・障害者が運転免許を持っているので、通勤の時間に利用者の送迎をさせ賃金を支払う場合、何か助成するものはないか。
A
・私ども一般雇用の担当であるので、福祉事業における場合については、障害保健福祉部の方へお尋ねいただきたい。
文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課長 丸 山 洋 司 氏 配布資料
・特別支援教育の現状。特別支援学校に約7万人、小中学校の特別支援学級には約20.1万人、通常の学級で通級による指導には約9万人、全体として36.2万人で全就学者数の3.58%となっている。
・特別支援学校数は、1,114校で幼稚部から高等部までの在籍数は、13.8万人
・特別支援学級数は、54,586学級。在籍数は201,493人。自閉症、発達障害が増加している。
・通級による指導対象者数が9万人を超えており、その4割は言語障害となっている。発達障害の子供が急増している。
・全体の子供が減少しているのに、発達障害の子供が増えており、指導する教員数が追いかず、入級待ちの子供が出ている。
・学校における支援体制の整備については、それぞれの対策で改善が進められている。その中で個別の指導計画と個別の支援計画が大事な点である。
・小中学校では進んでいるが、幼稚園と高校がまだまだ進み具合が鈍い。課題があるのではないかと思っている。
・大学等での障害のある学生の在籍者数が27年度から急増している。調査方法の変更と大学の対応が進んだことにより把握が進んだため。
・特別支援教育の課題として八項目を挙げている。
校内支援体制の整備、教員の専門性の向上、個別の教育支援計画等の作成と地方自治体における一元的な体制の整備
特別支援学校の教室不足の解消、次期学習指導要領に向けた対応、高等学校における特別支援教育の推進
障害者理解・心のバリアフリーの推進、障害者差別解消法への対応
・校内支援体制の整備としては、通級指導担当教員及び特別支援コーディネーター定数の充実、医療的ケアのための看護師及び特別支援教育支援員の配置など
・教育の専門性の向上として、特別支援学校教諭免許状保有率の向上を。
・個別の教育支援計画等の作成と地方自治体における一元的体制の整備としては、支援が必要な児童生徒に対して、個別の教育支援計画等の作成を義務化することと、地方自治体における乳幼児期から学齢期、成人期までの支援・相談体制を確立するなど。
・特別支援学校の教室不足の解消としては、廃校や余裕教室等を活用した建物整備の補助制度を創設。
・次期学習指導要領に向けた対応としては、全ての学校において発達障害を含めた障害のある子供たちに対する特別支援教育を進めるための見直しなど。
・高等学校における特別支援教育の推進としては、高校における通級指導の制度化(平成30年度)、自立と社会参加に向けた高校段階のキャリア教育・就労支援充実事業など
・障害者理解・心のバリアフリーの推進としては、インクルーシブ教育システムの推進、交流及び共同学習の充実など。
・障害者差別解消法への対応としては、合理的配慮に関する教育分野のガイドラインの作成など
・キャリア教育、職業教育の充実に関する改訂のポイントとしては、長期間の実習を取り入れて就業体験の機会の充実、校内の組織体制の整備と進路指導の充 実、学校、医療、福祉、労働の関係機関が連携し個別の教育支援計画を作成を義務化、高等部の専門教科として「福祉」の新設。
・支援学校の教室不足は、全国で3,430教室。岡山県は33教室。平成26年度から廃校や余裕教室を活用した支援学校の新設、分校、分教室の整備への補助制度を創設している。
・来年度の予算については、25億円。重点施策としては
・切れ目のない支援体制整備に向けた特別支援教育の充実
・ケア児への看護師の派遣増
・就労支援コーディネーターや発達障害アドバイザーなどの配置
・教職員の免許取得者増のための講習補助
・学習指導要領の改訂
・心のバリアフリーに向けた共同学習の充実
・学習指導要領の改訂で、これまでは「何を学ぶか」を「何ができるようになるか」、また「どのように学ぶか」という視点で行われている。
・高等学校において、平成30年度から通級指導が実施される。
・生涯学習の視点からの障害者の自立を
・障害者の学びを総合的に支援するための企画立案
・青年学級、オープンカレッジの普及、拡充。スポーツ、文化活動の推進。
質疑
・キャリア教育を取り上げると言われたが、現在現場では直Bが問題になっている。卒業後すぐにB型事業所移行することができずにまず移行事業所を経過しなければならなくなっている。そのため保護者も学校側も困っているが、どうにかならないものか。
A
・問題意識は共有している。全国の支援学校長会で同様なお話があった。厚労相とも協議している。
Q
・三重県では、就労段階になってなぜもっと特別支援教育を受けていなかったのかというようなお子さんが通常の学級を経過してきている者がいる。そのような子供を作らないようにしていただきたい。
A
・各自治体において関係機関が連携し、情報を共有化しながら、保護者への理解も進め、適切な進路指導に繋げて行くよう厚労省とも協議していきたい。
Q
・広島県ではサポートファイルというものを五年前から活用しているが、学校卒業後にも繋がっていければ良いと思っているが、どうであろうか。
A
・サポートファイルに当たるものが個別支援計画だと思っている。次期の学習指導要領の中で、個別の教育支援計画や個別の指導計画 を全員作成することが義務付けられている。学校ではきちんとできるようになる。卒業後について、就業・生活支援センターへも繋げて行くように厚労相とも話 し合っている。
Q
・埼玉県では、支援学校の教室不足が深刻である。廃校、空き教室の利用と言われるができない。マンションなどの増設で小中学校はできるが、支援学校は作られない。何とかして欲しい。
A
・確かに、さいたま市や愛知県などは教室が大変不足している。文科省としても小中学校の新設増設より支援学校の方を優先している。支援学校は都道府県に設置義務がある。教室不足数の多いところについて、文科省へ呼んで対策を協議している。それぞれの自治体へ要望を。