第2分科会 テーマ「人権擁護」

第2分科会 テーマ「人権擁護」
 会 場 4階 大研修室  参加者数 97人



         

運営責任者 岡山県手をつなぐ育成会権利擁護委員会 福田 耕治
司   会 岡山県手をつなぐ育成会権利擁護委員会 村上 三子
提 案 者 岡山県手をつなぐ育成会権利擁護委員会 近藤友加子
提 案 者 (助 言 者) 特定非営利活動法人リンク  理事長 永田  拓
記 録 者 岡山県手をつなぐ育成会権利擁護委員会 藤林小百合

         
(13:00) 福田委員長(権利擁護委員会)より、注意事項の確認
 ・非常口のこと
 ・携帯電話のこと
 ・休憩はなし
 ・全館禁煙のこと
 ・日程の説明
 ・アンケートのお願い
 ・司会の紹介
司会 提案者、助言者、記録者の紹介

提案1 「身近な差別? 大変だけど不幸じゃない」
      岡山県手をつなぐ育成会権利擁護委員会       近藤友加子
提案要旨 レジュメ
・日頃、私が感じたことをお話しさせていただく。
・私は特別なものではなく、一人の知的障害者の親である。
・午前中の大ホールでいろいろとお話があったが、障害者差別解消法がこの4月に施行されてことはご存知のことと思う。
・その中で、この法律が目指すところは障害のある人もない人もお互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会を作ることである。
・この法律では、不当な差別的取り扱いと、合理的配慮をしないことが差別であると言われている。
・不当な差別的取り扱いとは、どういうことかというと、障害があるからという理由だけで、障害のない人と扱いを受けることである。
・例えば、障害があるということで、スポーツクラブに入れてくれなかったり、アパートを貸してくれなかったり、車椅子だからといって店に入れなかったりするようなことである。
・ただし、車椅子で店の構造上入りにくい状況であり、本人も納得すればそれは差別ではないとされている。
・次に合理的配慮をしないということは、障害のある人に情報を発信するときに聴覚障害のある人に声だけで話すとか、視覚障害の人に読み上げることなく書類だけ渡す、知的障害のある人にわかりやすく説明しないなど、これに当たる。
・したがって、合理的配慮というのは、障害のある人が障害を乗り越えるためにどのようにして貰えば良いかを伝えて、あまり負担のない範囲で配慮してもらうことである。
・先ほどの例から言うと、情報発信している相手に自分の障害に合わせて読んでほしい、文書でほしい、優しく話してほしいなどと伝えて情報を発信してもらう ことが、合理的配慮をいただくということになるが、私たちの子供は知的障害で相手に伝えるということが苦手な障害であるので、これが大きなこれからの課題 になっている。
・障害者差別解消法では、市役所やお店などが、障害のある人に対して差別的取り扱い禁止と合理的配慮の提供を求めている。
・これから、息子の翔太と歩んだことを紹介させてもらいたい。
・私の息子は重度の障害者である。支援学校に通っていたが、高等部に進学したのち、岡山市の平田にある旭川荘の若草学園に入所し、同時に西支援学校に転校した。
・高等部3年の冬に、今、息子が暮らしている施設の「あしたば」から「今だったら、すぐに入所できる」ということで、即入所させてもらって3年になる。
・この12月で21歳になる。現在も発語といっても単語をいくつか言ったり、奇声をあげたり、童謡の一部を歌うくらいである。
・身辺の自立も自分できちんとできることは何もない。他傷、自傷もある。そんな子供でも小さいときに外から見ると、知的障害とはわかりにくいため、いろんなことがあった。
・皆さんもいろんなことがあったことと思う。
・子供が小さい頃、イベントに参加したとき自分の乗りたい遊具があり、人気のものでみんな並んでいた。息子も乗りたくてうずうずしているのがわかっていたので、乗りたくて暴れる。
・何回も列に並ぶのだが、飛び出してしまう。なんども最後尾に並んで待つ。その中で横から割り込んでくる子供もいる。そのような様子を見ても係りの人は注意しなかった。うちの子供には順番だと厳しく言われて辛い思いをした。
・また、親の勉強会などに参加して、障害のあることを伝え、その確認もとっていたのだが、しつけが悪いと注意を受けたこともあった。
・私の方にも障害があるのであるからと甘えた気持ちを持っていたからかもしれない。
・外から見て障害があるとわかる人に対しての周りの人の目は厳しい。うちの子供は重度であるので、差別を受けてもわからないようであるが、「嫌だなあ」という気持ちはあるようであるし、兄弟も辛かったり、恥ずかしい思いをしている。
・お店でワアワア言いながら、くるくる回ったりしていて、それを見て笑う人や嫌な顔をする人、真似をする子供などは、珍しくなくて、息子を連れて行くと必ずそのようなことに出くわす。
・親は、「嫌な人だな」と腹を立てることもあるが、大概はそれに対して色々と思う余裕はなかったけれども後ろをついてきている兄弟は辛かっただろうと思っている。
・そんなのであれば、家でおとなしくしておれば良いがと言われそうであるが、家に閉じて込めるわけにはいかない。
・大きくなって、兄弟に「だいじょうぶ三組」という映画に誘われて親子で鑑賞した。見た後、兄弟にみんな辛い思いをさせたと慰めた。
・こうしたいろんな話をすればきりがないが、これらをすべて差別というのか、法律の中にはこのような気持ちまでを規定しているものはない。
・これらのことは、無理解、無知識が原因ではないかと思う。
・措置から、支援制度、自立支援法、障害者総合支援法へと、あっという間に法律が変わっていき、社会参加の機会も増えて、確かに障害者への理解は進んでいるとは思うが、まだまだのところがある。
・息子は、障害者差別解消法が施行される以前から、重度のためあらゆる場面でまさに合理的配慮を受けて暮らしてきた。
・息子のためというわけではないが、今、日中活動に新しい支援グループができて本人に合った活動をしている。
・地元の成人式にも施設から付き添ってもらい、参加することができた。地元の大きな行事に参加できたのはこれが初めてのことかもしれない。
・児童の施設の時も、現在の施設も基本は数人で部屋を使うようになっているが、他傷があるため、利用者さんの安全を守るという意味もあると思うが、本人の状態に合わせて一人にしてくれている。
・支援学校では、小学部から高等部まで対応が難しいので、同じ先生がついていてくれた。地域の方では「アート25」という散髪屋さんが小学校の二年生の時 からずっとうちの子供を助けてくていて「翔ちゃんは可愛い」と言って、立っても座っても息子に合わせて散髪してくれている。
・とてもありがたいことだとはいえ、一般社会の理解はまだまだのように思う。
・理解して理解してと他力本願で言うのではなく、障害者の理解が広く社会で理解してもらえるよう働きかけていくのが親の務めだと思っている。
・まだ、他にも私が差別であると感じることがある。
・それは、障害者総合支援法になり、自立支援サービスという全国どこに行っても同じサービスが受けられることができたが、地域生活支援事業という各市町村で行う事業の中では地域格差が広がっているように思う。
・例えば、移動支援一つを取り上げてみても通学には絶対に使えないというところと、県、市によっては利用できるところがある。各市町村によって支給の内容や方法が違うなどである。
・もう一つは、障害者総合支援法が社会参加、地域で暮らすを合言葉にしているためか、施設側にも利用者にも厳しい気がする。
・息子が自宅に帰宅した時に、利用できるサービスは存在するが、実際には利用が難しい状況である。重度で在宅では暮らすのが難しいから施設に入っているの であるから、せめて帰宅した時にでも地域の行事に参加させたいのだが、親だけではとても無理な状態でどうしたら良いのかといつも思っている。
・なんだか、法に差別を受けているのではないかと思っている。
・それから、障害者について、広く社会に理解を求めていかなければならないのであるが、障害と言う輪の中でも互いの理解不足から、相手に差別的な考えを持っている人もいる。
・悲しいことだと思う。そういう私も同じ障害で軽度で親と話ができたり、遊びにいけたりできることは良いなと思った。
・でも、こうした育成会の活動で、いろんな方と接するようになって軽度の発達障害のある子供の親が今から行く一般の学校に配慮を求めたらそんなことのでき る学校を考えなかったのかと言われたり、就労などの苦労を教えてもらったりして、最近軽度の方が抱える問題も深刻なのだなあと言うこともわかってきた。
・差別と言うと特別なことばかりと感じがちだが、もっとも身近な自分自身の中にもあると言うことがこういう活動をする中でわかってきた。
・互いを知るように積極的に働きかけていくことで、理解が深まっていく。
・最後にこれが私の息子だが、息子の3歳頃から支援してくれたヘルパーさんが「この国の障害者福祉が正しくなされているかどうかを判断するには、翔ちゃんが幸せに暮らせているかどうかだ」と言ってくれたことがある。
・この言葉を励みにしている。今の我が家の合言葉は、「大変だけど、そうではない」。親しい友人に「かわいそう」と泣かれたことがあった。何にも言えなかった。素直に「みんなそれぞれだからな。良いこともあるしね。」と言って「そうだ」と答えてもらえる。
・障害のあることは、特別なことではない。互いのその人らしさを認め合いながら生きていける社会になるよう私なりに努力を続けていきたいと思っている。

【質疑】
福田さん
・少し補説したいのだが、提案いただいた近藤さんと同様な辛い思いをされた方もおられると思う。そのようなお話でもしていただいたらありがたい。
・偏見が少なくなったとはいえ、現実はまだまだ甘い話であって社会の中には現存しているのではないかと思っている。
・質疑がなければ、次の提案に移りたい。

提案1 「地域で暮らす」
   ~地域生活支援拠点を中心として、これからの暮らしを考える~
      特定非営利活動法人リンク        理事長  永田  拓
提案要旨
       レジュメ    配布資料
・今日はとても嬉しい機会をいただいて感謝している。
・普段は、障害のある方々の地域支援をする福祉サービスの事業を幾つかさせてもらっている。
・子供さんから大人の方まで、法人でもっとも低年齢の方は2歳、一番年齢が高い方が77歳である。
・そこから考えるととても年齢の幅が広い方々の生活支援を私を含めて50名の職員で行っている。
・私自身が代表を務めているが、相談支援という仕事をしている。今日、このテーマをいただいたときに、これは是非にみなさんと考える場にしたいと思っている。
・普段、私が地域で暮らしている障害者の方々がどんな暮らしをされているのか、本当にいろんなケースを見ていたわかった。
・少しその中から紹介したい。
・その前に、午前中の久保会長のお話を途中から聞かせていただいて、とても考えさせられるお話であった。
・先ほどの近藤さんのお話でもそうであり、後ほどまとめもいただいているのだが、今、私たちがやらなくてはならないという地域を作るとか、社会を作 るとか、ちょっとそれは大きなことかもしれないが、この国をちゃんと真剣に作らねばならないときにきていると自覚している。
・そのあたりをどうやってしていくのか、僕なりの実践の中でどんな風にしているのか、その辺りを紹介させていただきたいと思っている。
・誰もが当たり前に暮らしていける地域へと言うことが、言われている。いろいろな関わりがあって、現在は倉敷を中心に仕事をしているが、仕事を通していろんな人と話す機会が本当に増えてきた。
・その中で、今、非常に強い危機感を感じている。
・みなさんも関心があると思うのだが、人口が減っていると言う問題である。これは本当に深刻な問題だと思っている。
・どうしてかと言うと、2025年には75歳以上の人が全人口の中に占める割合が18%になる。これから日本は、世界から注目される国になると思う。
・なぜかと言うと、4人に1人が75歳以上の高齢社会というよりも超超高齢社会だと思う。それぐらい世の中というものが高齢という分野を中心に回っていくようになると思う。
・医療とか、教育だとかいろいろなものが高齢というものを中心に回っていくということが目前にきている、いや、すでに入ってきているように思う。
・最近であれば、高齢者の運転事故などよく聞く。これからはもっともっと増えてくるのがこれからの世の中であると思う。
・私は、倉敷の真備町というところで普段仕事をしている。人口は23,000人である。
・倉敷の中で一番言われていることが、もっとも一番高齢化が進んでいる地域だと言われている。
・この間、保健師さんと話をしていてちょっと面白いなと思ったことだが、倉敷というエリアには人口47万人の人口があり、その中で地域のコミュニティがきちんと生きているという地域が真備と玉島だと言われた。
・それはどういうことかというと、いわゆる町内会というのがしっかりと機能している。もともとは私は倉敷の中心部の方で仕事をしていて、その時に障害のあ る方の相談をしていて、地域で問題になっている家庭があった。その中で、入所施設とか、グループホームとか、新たな環境を変えるという支援をさせてもらっ たりすると、地域の方が夜になると大きな声や音を出す人がいなくなってちょっと安心できたということが結構多かった。
・真備と言う地域で仕事をしていて同じようなことをすると、がっかりされる。なんでかなと思ったら、地域の人たちがお互いを支えようと、今でも活動している。
・いつ頃の話かと思うであろうが、私も訪問中にびっくりしたのだが、隣のおばさんがコロッケをあげて持ってきてくれたりする。とても良いことだと思う。
・この間、胸の痛いことがあった。これは真備で相談を受けたケースである。
・その日、電話がかかってきて、相談に乗って欲しいと言われ、相談に出向いた。家族の方から相談に見えることはほぼない。
・相談してこられたのは、地域の相談支援センターの人である。一緒に家庭へ訪問に行ってくださいと言われる。子供さんの事例である。
・低年齢の子供だと想像していた。訪問すると62歳の女性であった。母親は80歳を超えていた。
・それまでは、母親がずっと支えていた。後で分かったのであるが、地域の人もちゃんと支えておられた。
・〇〇さんのところには少し障害があるのだということで、何か手伝うことはないかと言って手助けしている。
・面談をしてみて、本人は人見知りで話をしたりすると隠れてしまう。私は専門職であるので、話をしてみてそんなに重い障害ではないと思ったが、基本的に会話が成り立たない。
・どうしてなのかと思ったが、話をしていてだんだんとわかってきた。どんな暮らしをしていたのかと聞くと、地元の中学校に通っていて二年生の頃から行けなくなり不登校に。
・その時に母親はいろんなところに相談をしたそうである。だが、当時には支える仕組みがなかった。そこで母親は家に居ても良いと考え、その後、ずっと暮らしてきた。
・人見知りなのかと思っていたが、いろいろと話をしてみて外部と全く話す機会がなかった。母親としか話したことがないためと考えられる。
・どうして、今回相談することになったのか尋ねると以前ほどできなくなったと言われた。その後数日後に母親の容体が悪くなり、高齢者支援センターも家の事情は知っており気にかけていた。
・しかし、母親が踏ん張っておられた。お母さんは私に話したことで少し肩に荷が軽くなったのか、容体が悪くなり、意識不明となった。私は母親が亡くなるのでは心配したが、その後回復されて元気になられた。
・62歳の本人に尋ねたのだが、家にずっといて何が楽しいのか聞くと、母親が病院に行く時について行って帰りにテレビガイドを買うのが楽しみであると答えた。
・その話を聞いてちょっと複雑な気持ちになった。
・それから一からいろいろとお話を聞きながら、生活を立て直していこうということで、障害福祉サービスを使ってみないかと就労系サービスを紹介した。
・そうすると、迎えが来る1時間前からリュックサックを背負って待っている。何かしたかったのである。
・2ヶ月経って訪問すると、微熱があっても喜んで通っているとのこと。そして、初めて給料をもらい、ヘルパーさんと外出して自分の欲しいものを買うことができるようになり、ヘルパーさんがいうには、とても良い表情が出るようになったとのことである。
・このような事例が他にも結構出てきている。
・これは母親が悪いとは全く思っていない。母親もいろんな人に相談をしている。当時、こういう制度が整っていなくてどうしていけば良いのかなどの機能が十分でなかった。
・母親自身も体が弱ってくるし、以前のように思うように動けない。本人も少しは手伝っているので、本人がいなくなると母親も困るという状況である。
・今は、いろんなサービスを組み合わせて本人と母親の2人で生活ができるようになっている。
・母親はヘルバーはいらないといっていたが、本人についているヘルパーさんを見て現在は利用できるようになっている。
・実は、こういう暮らしをしている人はまだまだ多いし、高齢社会になるとどんどん多くなると予想している。
・今、障害のある方々が全国で何人いるのかを厚労省の資料で見ると万人いるようである。6.7%に当たるそうである。
・介護保険の始まる65歳を区切りと、人口の半々であるとのこと。
・65歳未満の方で、394万人の内、障害福祉サービスを使っている人が何人いるかということである。17.8%である。
・うちの事業所で実習する予定の大学生にどれくらいサービスを使っていると思うかと尋ねたら、6割くらいかねと言われた。
・いろいろとサービスを使っている人が増えているから6割ぐらいは使っていると思われる人が多いが、実は17.8%の人しか使っていない。
・ここから読み取ったのは、やはり日本という国は家族の方たちが支えているところがまだまだ多いというのが現状である。
・これが悪いわけではない。私が見たケースの中には家族の方が他に頼れるところないとか、頼れるところを知らない、そもそも相談したのだが、何も進展しないというところで止む無く家族で支えているというところがまだまだある。これが大きな問題だと思っている。
・今日、テーマとして「人権擁護」ということであるが、障害のある方が自分らしく、自分の望む暮らしを、年齢に応じた段階を踏む保障が得られるということが大事てあると思う。
・これはどういうことかというと、成人期では就労し、自己選択し自己決定するという機会が出てくるというのが当たり前だと思う。
・これをちゃんと提供できる社会が作れるかどうかが、私たちの仕事だと思っている。
・ここをしっかりしていくことが「人権擁護」にも繋がっていくものであると考えて日々やっている。
・私は、現在、川崎医療福祉大学で非常勤講師をしている。私はこの大学の10期生である。
・私の同級生は300人くらいいた。我々の同級生が福祉の専門職として世の中に出て行った。
・我々から15年経って、今年一年生の全体の授業があった。学生を数えてみたところは80人であった。福祉に志す人が80人しかいないのである。その学生に卒業後の進路を尋ねると一般企業に就職したいとのことである。
・そうなると障害のある方や、これから超高齢社会と言われている世の中で、福祉がとても大切でになってくる中で、その担い手がいないという問題がより深刻になってくる。
・そこで、福祉をやってくれる人がちゃんとできる仕組みを作るとか、地域を作るという大切な役割を持つ専門職でもあるので、こうした人の育成をしなければならない時期になっている。
・そうした人材育成をする上で何かで有効なことであるかというと、僕はこう思っている。
・ご家族のお話を聞いていて、そのストーリーがすごいなと思うことがある。話を聞いていてうるっと感動することがよくあるのであるが、ご家族の苦しさはな かなかわからないけれども聞いていてその苦しさを少しはわかる。その家族をどう支えるか、地域の中でどう支えてもらえようにするのか、これを作っていくの が僕たちの仕事ではないかと思っている。
・そういう人を育成していかないとこれからの日本に大きく影響してくると思っている。これは川崎医療福祉大学だけでなく全国大学でも同じような現象が起こっていると思っている。
・福祉の仕事はきついという印象をもってしまわれるが、そこを乗り越えていかなければならないと思う。
・余談であるが、私は倉敷真備支援学校の学校評議員をしている。ここは新設の学校ではあるが、全校生徒が333人いるマンモス校になっている。
・高等部になると自力通学となる。井原鉄道で通学しており、学校のすぐ側に駅があり、下校時には、プラットホームがいっぱいとなり、溢れて階段の下まで並んで待つという状況となっている。
・この学校に行かせてもらって思ったのは、僕ぐらいの年齢か少し上の年代の子供さんが小学部に通っておられるが、お話ししてみると思っていたより、保護者同士のつながりがない。
・例えば、勉強会などをして時に制度の話などをすると真剣にみなさんが聞いてくださる。このような研修でなく、ディスカッション形式でしている。そうする と親御さん同士で話す機会が増える。その様子を見ていたら、びっくりするくらい、ヨソヨソしいのである。どうしてかなと思うと、あまり保護者同士のつなが りがないのに気づいた。
・これはよく言えば、相談できる場所が増えてきたから、親として周りの親を頼らなくても、専門職に相談し、支援を受ければ良いと思っている。実はそれが良いのかなと、私は思っている。
・それは、現場に行って感じるのが、その時どんなことがあって何が苦しかったのかというのは、保護者同士の話の中から専門職に伝わって、そのようなことがあるのであれば、そこで我々が何かしていこうとするので、そのようなことをもっと増していかねばいけないと思っている。
・新設校でもあり、先生方が保護者の方になんでもどんどん話してくださいと言われたので、最初は制度のことを知ってもらいたいと思い、例えば中学部では年金の準備の話をしていく話をしていて、これは違うなと思った。
・そのような機会を通して、お母さん同士、お父さんも含めてつながりを作っていかなければならないなと思っている。それが少なくなっているのが問題である。
・今日の「誰もが暮らせる地域を作っていく」ということが「人権擁護」につながるということをお話ししたが、僕たちに地域での生活の中で、困ったことや苦 しかったことを教えていただきたい。それを我々は知りたいのである。そこを知らなければ、どのように地域社会に奉仕してば良いのかがわからないのである。
・私の仕事は、365日体制でしている。障害者総合支援法に基づいて我々は活動している。一言でいうと総合的かつ計画的に行おうとしている。これはどうい うことかというと、それはいろんなサービスが充足してきて計画的に使おうというもの。今での障害福祉サーヒズは計画的に使うという点が薄かったと思ってい る。
・私が、担当しているケースでどうしてこういうサービスを使っているのか、よくわからないことがある。
・例えば、本人がご飯だったら炊けるとすると、ヘルパーさんが入ってきて、もう良いからテレビでも見ていてなどというと、ご飯を炊くこともしなくなる。そ の時に、今の障害福祉では、もし家族に何かあった場合、急に本人にご飯を炊いてということになると本人は困惑することになる。
・そういう意味で、真摯に向き合って考えなければならない時期に来ていると思っている。それを我々専門職がやっているところである。
・入所施設から地域と言われるが、私も入所施設によく行かせてもらっている。施設の職員さんも大変よく勉強していて、虐待防止法や差別解消法などのことについても詳しい。
・そういうところなので、社会資源としては大切なところだと思っている。
・私の言いたいことは、施設だけではなく、本来、その人にあった生活に結びつけられるようなものであって良いのにと思っている。
・これをしっかり保障していくためには、相談支援というものを中心にしながら、コーディネートしていく必要がある。
・相談支援専門員は、スーパーマンではないので、そこで、ご家族の方々の思いや意見を、あの時にこのようなことが苦しかったということが知りたいのである。
・それを真摯に向き合って、形にして反影していきたいと思っている。
・地域包括ケアシステムというものがある。高齢分野ではこの話ばかりである。ケアマネージャーはこれでいろいろと悩んでいる。介護福祉サービスだけでは賄 えない状況にきていると言われている。これからどんどん高齢者が増えるので福祉サービスだげでなく、地域の中で支えあう仕組みをもう一度作りましょうとい うことになってくる。
・今、真備などでは、障害などというのはやめて地域の福祉のことについて、高齢のことも含めて会議をしている。
・真備というところは面白いなと思っているのは、地域に23,000人しかいないのだが、子供の数が急に増えてきた。なんでであろうかと思っていると、ベッドタウンになり転入者が増えてきている。
・その転入している人が増えてきてどうなったかというと、町内会に加入しない人も出てきて、どうなるかというとゴミを捨てられないのにお構いなく捨てる。分別もしないで捨てる。そのため、ゴミを回収してもらえないなどの問題が出てきている。
・これではいけないということで、この地域にどんな暮らしをしている人がいてどういうものが必要なのかをきちんと伝える仕組みがいるのだと思う。
・これをしていくのが、我々やみなさんである。こういうことをしていかなければ、地域包括ケアシステムもできないし、隣のおばさんがコロッケを持ってきてくれるという地域社会にもならないと思っている。
・次に、地域生活支援拠点というのは、平成29年度末までに、各福祉県域ごとに一ヶ所は設置すると言われているもので、いわゆる、親亡き後と言われた永遠の課題に着手するというもの。
・各市町村に一ヶ所というところもあれば、圏域ごとに一ヶ所においてカバーするというところもある。基本的には24時間365日、安全安心を地域で保障していこうとするもの。
・皆さん方が意外に知られていないが、我々専門員をはじめ、ケアマネージャーが計画相談に全国平均で97%ほどが付いている。
・以前は、誰に相談したら良いのかわからないと言われていたが、今は、サービスを使っている人に対して、ほとんど相談が行きわたっているという状況にある。
・その相談員たちが、希望すると定着支援ということで24時間駆けつけて対応するという制度ができている。この制度が全国で岡山県が第3位である。ものすごく取り組んできた。
・他県に比べて、24時間365日の体制で我々が取り組んできたという結果である。最近までほぼ2位であったが、千葉県に抜かれて3位になった。
・緊急対応としては、このようなことをしてきた。例えば体調不良で駆けつけたということがあれば、障害特性上のトラプルでパニックが起きたとか、親御さんが弱ってきて自分ではどうにもならないという時に、応援で駆けつけることもある。
・一人で自分の家で住んでいたとしようか、その時家のドアが壊れたとか、電話が使えなくておかしいとか、家族の人が今までは見ていたが、第三者が駆けつけて助けてあげるという制度が整ってきているのである。これが岡山県が第3位になっている。
・これをしっかり実践していく仕組みを強化していくのが地域生活支援拠点だと思う。その時に、福祉の人がやってくるのを待つのでなく、これまでの子育ての苦労していたことのストーリーを聞かせてもらうことで反映していくことができると思う。
・これをしていかないと、障害のある方の人権擁護はできないと思っている。
・地域生活支援拠点は地域の皆さんで作ろうということになっているが、地域のみなさんが地域で足りないものなどが分かっておられると思うので、声を出して欲しい。
・そのためには、この育成会活動はとても良いことであると思っている。そういう声をしっかりあげてください。教えてください。それがしっかり反影してくれ ばきっと誰もが暮らしやすい地域になるのではないかと思っている。是非、みなさんと一緒にやっていきたい。以上で、時間が来たので終わりたい。

【質疑】

Q.津山みのり学園のディサービスで働いている岡田さん。
・永田さんは相談員でコーディネートの仕事もされているのか。老人のことで地域包括ケアとも関われ、生活支援サポートとかもコーディネートしていかないといけないということで、真備では協議会というものがあるのか。また、どのように立ち上がって行ったのか。
A, 永田さんから
・今、障害福祉サービスの中では、地域自立支援協議会というものがある。各圏域とか市町に設置されている。そこで、障害福祉サービスで一番大切なのは障害福祉計画を立てることではないかと私は思っている。
・要は、そこではグループホームが足りないとか、施設が足りないとかは、その計画に基づいて行政が予算をつけていくという大きな計画になっている。
・これは、ある特定の人の意見ではなくて、その地域では何が足りないかということが協議しなければ良いものにはならない。それを話し合う場ということで、自立支援協議会というものが設置されている。
・倉敷の場合、私もその協議会には入っているのだが、地域の課題を話そうという簡単な話のように思うであろうが、結構難しいのである。何か意見を言って欲しいと言ってもなかなか意見を言うのは勇気がいるのである。
・そこで、フランクに話し合える機会を作らないといけないなと思っている。
・真備でしようとしていることは、大きく分けて二つある。一つは、倉敷の47万人対象の大きなものでなく、真備という小さい町でできないかなと思ってい る。その中で障害福祉のことだけを話すのでなくて、高齢の人が入ったり、真備記念病院の方にも入ってもらったりして真備の人のことをタイムリーに話し合う ことができる。これをしたいと思っている。その時に難しいことを言うのでなくて、障害のある方と暮らしている人がきて、きちんと意見が言える場にしたいと 思っている。
・でも、その人一人がくるというのはとても勇気がいることで、できれば親御さん同士が話し合える機会を作ることが本当に必要ではないか。この育成会などに加入していない人も多くいると思う。もったいないと思う。
・親御さん同士が苦しかったこと悩んだことを話していただき、それを我々がお聞きし地域のことを一緒に考えていくことが大切ではないかと思っている。それを細々としているのが現状である。

Q, 岡山市手をつなぐ育成会の渡辺さん
・最後から二つ目の障害上のトラプル、パニック、自傷行為とあるが、私の娘にフラッシュパックが起きて、すごくパニックを起こすことがある。
・そういう時は、親として抑えようとして、その場合の頓服薬を服薬させようとすると、本人もわかる子であり、後から親に虐待されたというので、それもでき なくなり、当分は話を聞いて受け止めてパニックの原因となるものを探りながら、寄り添うしか今はないのだが、先ほどの緊急対応でどのように対応されたの か、お聞きしたい。
A. 永田さん
・私は、24時間365日にすると言うの結構大変。いつ電話がかかるがわからないと酒も飲めないということになるが、私は好きなので飲む。で、そのようにしているかというと、基本は渡辺さんと一緒である。
・なんでそうなるのかということにちゃんと着手しているかどうかなのである。緊急出動が大変だと言うことに限ってそうなんだが、その時に起こった問題に対 してその場で対処して終わったらよかったと言うことで終わるのである。要は、パニックになった時にパニックが終わればよかったねと言って終わるというこ と。支援ではないと思っている。渡辺さんのように原因がどこにあるのかということをしッかり探ると言うことが我々の仕事だと思っている。それがきちんとで きておれば、ひょっと家族の方が何かあっても家族の人で対応できるかもしれないし、他の人でもできるかもしれない。その問題をしっかり向き合っていて一緒 に探っていけば、こうなった時はこう対応すれば良いと言うことが少しずつ見えてくるのではないか。それを家族の方だけで関わっていたのが、これに医療の方 とか、僕たち福祉のものが入っていけば違った対応ができるかもしれないし、何か違う視点が持てるのではないかと思う。これが我々の役目。
・こういう緊急対応にしっかり対応していけば、数も減ってくると思う。平成24年から取り掛かり、どんどん件数も減少している。
Q. 玉野市手をつなぐ育成会の近藤さん
・障害福祉サービスのことかどうかわからないのだが、地域定着支援というものがあるが、また、利用できるか。障害福祉計画を立てるのが一番大事なことだと 言われたが、福祉サービスを使う人にするの計画ではないか。実際に使っても良いと思う人が使っていないことがあるので、相談員の人に関わってもらったりし たこともあるのだが、どうだろうか。
A. 永田さん
・近藤さんと一緒に弁当を食べた仲であるのに、こんなところで聞くのかと思った。
・もう少しこの事業について、説明させてもらう。近藤さんのお話があったように地域生活支援事業は地域によって差があったりする。
・相談事業の中で、計画相談というのは、どこの地域によっても同じなのであるが、地域によってローカルルールのようなものがあって相談員の動き方が結構違ったりするだろうと思う。
・相談支援というものの中には、いろいろな種類のものがある。その中で一番わかりやすいものは市町村から委託されているもので年間どのくらい相談するかで すでに委託を受けているもの。ほかに計画を作るだけというものもある。また、地域相談支援といって、若い方が入所施設に入っていて、いずれもグループ ホームへ出ていきたいと思った時に個別に相談についてもらって可能性を探ってもらったりとかができる。
・そこで、帰って家で生活をし始めた。ところが家族が高齢で支えられないという場合に、地域定着支援というものが使えるようになる。
・使える方は単身の方とか、家族と同居しているが、家族に要介護の人がおり、支えられない時、希望すれば個別で使うことができる。その時にそれに応じて介護報酬がもらえるということ。
・緊急で何か問題が起きて、駆けつけるとか、電話で対応するとかがあれば、それなりの介護報酬が支給される。
・このようなことにいちいち私が行っていると、私自身持たなくなる。
・そこで、継続的に支援ができる仕組みが必要となる。
・以前は、相談支援の方が熱心に関わってもあまりお金が出なかったが、今は希望すれば行政が支えてくれている。これが岡山では進んでいる。
Q. 吉備の里家族会の福田さん
・相談支援事業について、若干疑問に思うことがあるのだが、先ほどの大ホールでも出て聞いた本人の意思の尊重ということである。我々、権利擁護委員会で親 亡き後、親はどう思っているのか、どのような絵を描いているのかなどを議論してきた。その中でも子供の意思を尊重した環境の中で、安全安心な生活ができる ようにということに落ち着いてきている。
・その中で、最近の傾向をみると行政の方でも本人の意思の尊重を水戸黄門の印籠のようにかざしている。まだ、我々としては子供がアパートを借りて生活するというふうな段階には行っていないのではないかと思っている。
・ところが施設だとか相談のマネージャーとか、行政が施設から出て一人で生活したいと言っていると言い、勧めるが親としては一人で生活するのは大変だと思うというと、十分ケアがつくからと言われる。
・話は変わるが、病院に2ヶ月に一度診察し薬をもらっているが、行く度に医師が変わっている。病院は日替わり定食かというのだが、そういうことで不安が生じる。
・本人の意思の尊重なのだが、本人がこうしてほしいということを単純にこれ幸いと地域移行すれば行政の方では助成金が少なくなるので喜ぶので、そのように言ったのだろうと思うが、親としては不安が募る。
・本人の言ったことをそのまま聞くのではなくて、本人の将来の利益はどうであるかという視点も考えていただかないと。ただ本人の意思の尊重だけを建前に誘 導的な勧めはいかがなものかなと思う。そういうことがちらほらと見えると聞いているので、その辺りの良い事例があれば、聞かせてほしい。
A. 永田さん
・今、難しい問題だなと思って聞いていた。実は、相談支援専門員が岡山県に結構いる。現在、私はその専門員協会の会長をさせていただいている。今、この協 会の中でも話していて、ほとんどの相談員が同じようなことをいうのである。今の一番の課題は質の向上をしなければならないという。
・実は、質を高めなければならないとみんな気づいている。どうしてこんな発言があるかというと、そもそも平成24年から相談支援というものを個別にもつけ ましょうということになって、三年間のうちに全員に届けようということになっている。僕は、これは絶対無理だと正直なところ思った。
・ただ、すごいなと思うのが、三年間でほとんどの人に広がったということである。それで何が起きたかというと、行き渡ったことだけでよかったのかということの議論がやっと今始まっているところである。
・例えば、相談員の人と集まりをしてみて感じることは、例えば、本人さんのモニタリングするという機会がある、どんな暮らしをされているかを会いに行き記録を取ったりする。
・会話ができない本人のモニタリングどうやってするのかというところは、突き詰めていくと答えられなかったりするのである。どうやっているのかは個々に寄ってやり方が違うのである。
・どちらかというと本人の生活をぱあと見て、施設の職員さんから聞き取ることが結構多いのである。僕は研修の中でよく言っているのは、まあ、本人さんが何 も言えないという場合、なかなかその人の気持ちを汲み取ることは正直にいうと難しい。その時、ご家族の方から聞き取ることもあるが、それが全てかどうかは 正直なところわからない。
・であるので、僕が結構大事にしていることはノーマライゼーションの考え方である。本人の発達段階とかその人の状態とか年齢に応じた暮らしができているのかということである。
・暮らしができているのか、そういう暮らしができる機会を与えられているかとか、保障されているかということをいつも考えながらやっている。
・例えば、わずかでもグループホームに入られている方が仕事をされていてわずかな収入を得ている。その得ている収入をどういう機会に使っているのか、というと、実は誰もついてもらえず、買い物に行けずにずっと収入を溜め込んでいる。
・将来に向けて考えてみて、それで良いのかどうかということである。この人は買い物をしたいのかもしれないし、買い物に行きたくても誰もついて行ってくれ ないので出来ないのかもしれないので、そこはヘルパーさんとか支援者がついてあげるかによって保障してあげ、それらを本人が選んで行ければ良いと思ってい る。
・それがきちんとできてくれば相談員の質も上がってくるし、障害のある人の暮らしも良いものになってくると僕は思っている。
・今、急激に相談支援が拡大していて、相談支援員が疲弊していると思うが、これから質を高めていくとどうなるかというと、障害のある方やご家族に還元されていくと僕は信じている。
・そして、これをやっていなかければ、障害のある方の暮らしとか、将来の良い暮らしの保障ということが難しいと思ってぃる。そこをしっかり関わっていきたいなと今考えている。
Q. 福田さん
・ズバッと言わせていただけたら、在宅の方は相談支援センターは良いのかなと思うが、施設とかグループホームに長く居る者は、施設側が計画を立てて結構何 十年もやっているところの書類よりも、1時間ほど協議に乗っていただいてうちの子供の何がわかるのかな、それで判定ができるのかと失礼なことを言うが、行 政側の意向にそうのでなく、障害のある本人や家族の意向にそうよう、相談に乗ってもらいたいと、このように思っている。

永田さんの総括助言
・発言された皆さん、ありがとうございました。もっと言いたいと思っている人もいたと思う。計画相談の時にここで話し合ったこと元に、私の話や子供さんのことをしっかり伝えていただきたいし、それが相談員を育てることにつながると考えている。
・まとめと言う形というものではないが、ちょっと振り返っていけたらと思っている。
・近藤さんのお話を聞いていて、障害者差別解消法の話をしようと思っていた。これを一言でいえば、待ちに待った感じのもの。平成25年の6月にこの法律ができて、施行されたのが今年の4月からである。
・この法律ができて、まず僕が感じたのは、相談支援で個別のケースに向き合いながら、地域をどう作っていけば良いのかということにこだわってきた。
・なぜ、そう思っているかと言うと、福祉サービスとか、僕たちとか、支えられるものはしれていると思う。その人が地域で役割を持っているということがとても大事なことだと思っている。
・今日、午前中の久保会長のお話を聞いていて、僕も思ったのだが、僕もこの仕事をしているので、相模原の事件について結構いろんな人に聞かれた。仕事の仲 間が結構神奈川とか相模原に結構いるので、彼らからの話によると、県の人は一週間ずっと家に帰っていないそうである。泊まり込んでいたそうである。そのく らい大きなトラブルであった。
・僕も大変ショックであった。あの時に相談支援センターの職員をはじめ、いろんな人たちがショックを受けていた。
・非常に悲しいなと思ったのは、障害のある方が生きている意味がないとか、そんな話が結構出たりして、僕の担当している契約させている方々の中でも、ご家 族の方から言われたのだが、うちの息子はそのニュースになるとテレビを消してくれと言われたと。知的障害で会話のできない方である。なんとかなく、嫌だな と感じているわけである。
・僕にどう思っているのかと尋ねられる。僕は胸を張って言うのであるが、障害のある方からいろんなことを教えてもらったのである、本当に。
・僕が考えられないなと思う暮らしを多くの人がされている。本当に信じられないなと言う暮らしをしている人が多くおられた。でも、どんなに劣悪な環境で あったり、苦しい環境であっても、自分の暮らしを作っていこうとするとか、自分の居場所をきちんと守っていこうと言う暮らしをされている方も多くおられ た。
・僕が悲しいなと思ったのは、事件を起こしてしまった支援をしていた人がそのように思ってしまったということが非常に残念なことだと思った。
・やはり、障害のある方から何かこの人たちがこのような暮らしをしているのは何かの理由があって、そこをなんとかしないと同じようなことがまだ続くという方がいるということになぜ気づかなかったのかなと、そこが大変悲しかったことである。
・最終的に、障害のある方が必要ないと言うのは非常に残念なことであったと思った。
・障害者差別解消法ができて、改めて特別なことをしなくてはと思っていない。そもそも当たり前の暮らしをちゃんとしていきましょうということだと思っている。
・合理的配慮というのを丁寧に説明していただいたが、そもそもちゃんと思いやりを持ち、配慮していくことができたら、そんなことをわざわざ言葉にして言わなくても、これがちゃんとしたノーマルな社会になっていけばそれで良いのではないかと思っている。
・僕は、障害のある方だけに特別に何かとしなくてはいけないと思うのでなく、地域包括ケアシステムがあるが、これから高齢化と言われている福祉を必要とす る人が多くなっていくのであれば、日本という国が誰もが暮らしやすい国と言うことにこだわっていけば良いのではないかと思っている。
・そうすると、別にこのようなことをしなくてもみんなで支える仕組みというものを作っていれぱ、良いのである。
・障害のある方の存在の意味は絶対にある。断言している。その人がいるから、その地域でなぜその人が暮らしにくい人がいらっしゃるのかということがわかるのである。
・どんなものが整えば、その地域がよくなるのかということが、その人たちを通してわかるのである。問題はそこをしっかりとキャッチして、そこが地域を作っていくことに楽しみとし、向き合っていけるということができれば、素晴らしい地域になるだろうと信じている。
・そのためには、障害のある方が必要ないということは絶対にない。そこをしっかり、僕たちも含めて社会の中でそこを知っていきたいなと改めて感じた。
・障害があると言う理由だけでというのは、これはあると思う。未だにこれはあると思う。一昔前に比べると障害のある方を理解するということが社会の中で少し増えてきていると思う。
・しかし、まだまだ知られてないことが多いと思う。今、国の方で言われているのだが、10人に1人が何らかの障害や特性とか個性があるそうである。わが町 の倉敷ではどうかということであるが、平成27年の三歳児健診のデータを見たのである。要リスクで少し支援が必要な幼児が22%であった。5人に1人であ る。5人に1人が何らかの偏りがあるのではないかと形でリスクがあると言われている。
・今はそういう指摘をした時に、受け入れられる療育であるとか、また、今日の大会で分科会でも療育が取り上げられているが、療育のサービスとか相談できるところが結構ある。
・早期から療育を受けるところが結構ある。データから見ても国よりもわが町の方が結構多くなつている現状がある。
・今日の午前中の会長の話にもあったが、特性のある方が結構増えていくという話は本当にそうだなと思っている。
・やはり、医療の進歩によってなかなか助かりにくいと言われていた子供が助かるとかをよくお聞きする。身内に外科医の医者がいるので、話をするのだが、一 昔前では助からないと言われたのがほぼ助かっているとのこと。その代償として、何らかの生活の質であったり、人と違った暮らしであったりすることがあるの である。
・そういう人たちが社会の中できちんと居場所を作っていくことが大事なことである。久保さんのお話をお聞きしながらこんなことを思った。また、久保さんのご自分の子供さんのお話も大変参考になった。
・僕の話も簡単に振り返ってみたいと思う。
・今日は実践的な話をさせてもらった。最後にもう1事例を紹介されていただき終わりたいと思う。これも非常に考えされられた事例であった。皆さん方はどう考えられるかというものである。
・58歳の男性。軽度の知的障害がある。一見すると知的障害があるかどうかはわからない。その方は、30年精神科病院に入院していた。
・その人にどんな障害があるのかと聞いてみると、統合失調症と言われた。知的障害であることは消えて、精神病にされている。後でわかったのは、もともとは知的障害で二次障害として統合失調症が発症していることで30年入院生活をしていたということであった。
・僕はそこで知り合って支援を依頼されて本人と面会させてもらった。僕は胸が痛いと感じたことが何度もあった。
・まず、その一つが、家族がいたが亡くなられている。このことは本人も知っている。もともと住んでいた家があり、そこに帰りたいと本人が言う。最初は家族 も帰ってきても良いよと言っていた時期もあった。ところがだんだん家族も一緒に暮らすことができなくなって難しいということになっていた。
・そこで、その生まれた家に言ってみてびっくりした。もう更地になっていた。本人はそれを知らないのである。駐車場になっている。
・しかし、本人は退院したいと言っているが、少々これは難しいなと思った。もう58歳になられている。何十年も入院していた人が外に出ることになると、急に外国暮らしをすると同じようなものである。
・本人と話をしていて、僕がちょっと古い話だなと思うことをタイムリーに話しかけてくる。僕にはわからないことである。
・非常に印象深いこととして、本人と外でランチを食べようということで事前に色々と調べて一緒に行き、何が食べたいと尋ねると「マクドナルドに行きたい」 と言われ、びっくりした。一緒に行き、注文しようと並んでいて私が済ませて本人を見たら、注文できないのである。どうしてかなと思ったら、注文の仕方がわ からないのである。本人は一度もマクドナルドに行ったことがないのであるから。その人はチーズバーガーを注文した。そして食べ始めると涙を流しながら食べ ている。美味しいと言って泣くのである。病室でよくテレビで見たようである。食べたいなと思っていたが、食べられなかったのである。僕はその人の様子を見 ながら、この人の人生は何だったのかなとぐるっと思った。
・僕は今日いろんなことをお話しさせてもらったが、この人を受け入られていく場所がどれだけあるのだろうかと、改めて思った。
・入所施設なのか、グループホームなのか、本人は家を持っていないがなんらかの住める場所なのか、それはなかなか難しいことだと思う。これを僕たちだけで作っていくというのは、難しいなと正直思っている。
・みなさんのご意見をしっかり聞いていたら、どんなことがこの地域に必要で、どうしていけばこの人を支えていけるのかということは、多分、誰かとだけでやっていくのでなくて、地域としてやっていかねばならないということが本当に必要な時代に来ていると思っている。そういうことをしていけば、この高齢化社会にしっかり向き合っていけるのではないかなと思っている。
・今、紹介させてもらった事例をどうやって私たち町で支えていけるのか、どうやって共生と言われる共に生きていくことができるのかを考えてみるものになれば本当に良い機会であり、良い時間であったと思っている。
・以上でまとめを終わりたいと思う。

福田運営者から
・提案者、司会者、記録者のみなさんに感謝の拍手をお願いしたい。参加されたみなさんに今日の話を生かせていただきたい。
・最後に、育成会の定款にも書いてあるように、障害のある方々の福祉の増進のために頑張ろうということを申し上げ、この分科会を閉会としたい。
14:47 散会

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