シンポジウム
シンポジウム
ー地域生活支援・就労支援・次世代の育成ー
制度改正の方向と事業所の未来
「事業所の担い手、事業を利用する人、事業所を見つめる人」それぞれから
コーディネーター
全国手をつなぐ育成会連合会 統 括 田中正博
シンポジスト
岡山県手をつなぐ育成会小規模事業所協議会 副会長 岩月成臣
全国育成会事業所協議会運営委員
沖縄県手をつなぐ育成会 理事長 田中 寛
愛知教育大学 名誉教授 増田樹郎
進 行
全国育成会事業所協議会運営委員(東海北陸) 金刺幸春
午前9時30分から進行役の金刺さんによりシンポジウムが開始され、まず、昨日の各分科会の内容について感想の報告。
第一分科会において、意思決定支援という本人尊重、本人主体の事業所のあり方はというテーマで長年実践された二方から学んだ内容の濃いい分科会であっ た。第二分科会は就労というテーマで岩手と徳島の全国大会ならではのお二方の発表で働く事業所として地域との連携が基本であるとの主張であり、地域で根ざ したものとして作られ、これからも本人の生活の場として地域で生きる場にしていくことの重要性を訴えたものであった。第三分科会は、次世代の育成という テーマで、三十代の若いリーダーの実践の伴った発表を聞かせていただき、コーダィネーターの増田先生から、提案者は第三世代ではないか。制度のない時代か ら総合支援法という制度の中の事業所となり、制度の中での世代としてどう考え活動するべきかと熱心な協議であったと思う。そして、その三つの分科会をまと めたシンポジウムにしていただきたいと願い、コーディネーターとシンポジストを紹介し、コーディネーターの田中さんに引き継ぐ。
コーディネーターの田中正博さんから
・先ほど昨日の3分科会の報告をいただき、そのまとめということだが、冒頭から、相模原市の事件も絡めたこともあるので、この三つのテーマを爽やかにまとめるためにも金刺さんにも壇上に残ってもらい、協議に入ってもらいたい。
・障害者自立支援法が施行され10年、総合支援法施行3年となって新たなステージになっていくのかどうか。
・事業所協議会がこれまで、小規模事業所としてきたもの が事業所として大きくなり同じ法制化になってきたことにいくらか見直しをしなければという思いもあることから、まず沖縄の田中さんに。
・次に岡山の岩月さん から小規模事業所として発足し、次々と増設して多機能事業所になり、その事業経営と職員の質の向上について提起を。
・また増田さんにはこの10年間の位置づ けの中で法制化されたことに対しての評価すべき点と杞憂となる点についてのお話をお願いしたい。
・私自身も34年前にレスパイトや放課後デイサービスの原型 のようなものを事業化してこともあり、この10年を整理し、次のステージについて少しでも明らかになればと述べ、自己紹介に続き、提案者に引き継ぐ。
主題「制度改正の方向と事業所の未来」
提案者 沖縄県手をつなぐ育成会 理事長 田中 寛 要項掲載資料
・2015年の虐待のデータが出た。この数字について私はまさかと思い、見た。
・次のパワーポイントのページは、千葉県の条例。堂本知事が作られたもの。平成19年に施行された。
・ただ皆さんご存知のように千葉県立の障害者施設袖ヶ浦では、先ほどの条例を作る前から、そして作った後も県の作った施設の中で10年間23人の入所者に対して虐待が行われいた。
・施設の運営規定の中に体罰の禁止という項目はある。みて見ぬこともしてはならないというのも。こうした規則はすべてのものではないと思っている。
・防ぐ方法やなぜこのようなことが起こるのかは皆さん方も考えられるだろう。家で嫌なことがあったとか、仕事で嫌なことがあったということがあるかもしれ ない。それらが引き金になり、こういうことが起こるということは大変つらいことであることではあるが、排除していかねばならない。
・もう一つはものの見方、自分のしていることが虐待や差別になってはいないかという意識が一人一人違っているのではないかと思っている。
・ものの見方の違いということで次の図をみて欲しい。
・施設の職員に見てもらうと、左は馬だが、横に向けるとカエルに見える。隣の絵は左が女性の顔だが、横に向けた右は魚に見える。
・ものの見方というものが視点を変えるといろいろの見え方がするものだということを自覚する。意思決定支援においても言えることである。
・私自身、先ほどの自己紹介でも言いましたが、父親の立場、育成会代表者、運営者の立場で不満を持っている。
・ここで、本音を言って欲しいと言われたので話したい。
・一般に高校を卒業した後、大学にいく、専門学校に行くといろんな道がある。働かないという道もある。支援学校を卒業した方は、就職をする。就職が厳しい 方は障害者施策であるA型またはB型を、または介護などなどがある。これらの選択肢の中でアセスメントをとる。まず働くということを前提にということが考 えられている。
・私自身、小さいNPOの事業を運営しており、その中では制度に則った運営をしているが、何故働かなければならないのか。
働くという前提で就労移行でアセスメントをとる。働けないのであればこれで良いのではないのかと言われるが、B型でも生活介護でも良いのではないのか。
・それでは、働く方の支援はどこまでできているのか。離職した後、再就職が難しいのは誰でもわかっているように、障害のある方にとってはさらに厳しい。就 職したかどうかは6ヶ月の就労で区別される。であるが、2,3年働いていたかどうかは判断しないのか。これは私の意見ではあるが。
・支援学校で12年間学んでもコミュニケーションが取れないという方々に必要なのは、自立訓練であると思 う。2年プラス1年というもの。再利用ができるが、ところが自立訓練を出てB型に行き、もう一度自立訓練をしたいと役所に申し出ると、その理由を出してく れと言われ、出すと審議委員会で否決され、できませんと言われる。
・工賃向上計画でどんどん加算されてくる。B型などで作業能力の厳しい方が入ってこられると当然工賃は下がってくる。そうすると働ける人だけが入ってくるB型になってしまうのではないか。
・就労移行での判断も3日でとか一週間で、また2ヶ月でと市町村によって言ってくることが異なる。
・親亡き後で何が困るのか。家、住むところ、金、世話をする人といったことは親の会で話をすることだが、ただ、事業所はここでどう関われるのかということ考えておくこと。
・利用する立場で、意思決定支援を本当に本人のたちのためにできているのか。
・相模原事件に対して、これから出てくる厚労省のセキュリティのあり方などが気になる。
・防犯対策として、壁を高くするとか、鍵を増やすということが出てくると思う。
・本当に凶悪な犯人が入ってきたときに、職員や私たちが身を挺して守れるかという不安。
・次に厚労省が出てくる指示で職員はなんらかの武道を習っておくようなことが出てくるかもしれない。
・逆にそんな危険なところでは働かないということもあるかもしれない。
・最後の問題として、職員の資質。職員を信用していて良いのかという不安が親からも出てくると思う。
・そのためにも、保護者の会の人たちとコミニケーションをたくさん取ってくださいというのが私の願いである。
・おそらく家族会を開かれて話し合いを持たれたところもあると思う。でも話し合いをしていないところもあると聞く。
・是非、家族とのコミュニケーションはしっかり取ってほしい。
田中
・先ほどの話では働くことが強化され、就労移行がわかりやすくなっていることに比べて自立訓練が事業所側からそれを求める声があまりなかったというあ たりから、金刺さんにも入ってもらって進めたい。
・一番難しいところは作業所でA型は良いとして、B型の場合、就労移行を経過してということから鯛の骨が喉 にひっかかったような状態になっているが、この就労移行と自立訓練、区分分けを含めて話を進めたい。岩月さんのところは法人として多機能な事業を行ってい るが、ご意見があればお話しいただきたい。
岩月
・私は、障害のある子供の親でないので、立場が違うということをご了承してもらっての話だが、私の法人には、生活介護、B型、A型、就労移行もしてい る。移行を始めた理由というのは、支援学校から卒業されるお子さんたちのアセスメントができないと福祉サービスが提供できないからである。
・B型の事業に区 分の5の方がおられるとかはあるが、それは利用者や親のニーズがあって最終的に決まっている。
・事業主として事業認可してもらってぃるち立場であるので、倉 敷市に対してあーでもこーでもないという立場にはない。
・ちょっとこれは違うのではないかと思いながらも今困っている利用者を助けるにはどう制度を、いかに 有効に使って今助けてあげるかを常に考えて仕事をしているのが今の状況である。
・当然、一方から見ればこうしてあげたら、あーしたあげてら保護者にとって良 いのではないかということはあるが。
・育成会に入って特に思うのだが、事業主でない当事者という立場での意見の集約ができたり、そこからいろんな発信ができ たりというのは、羨ましくもあり、末端ではあるが参加させてもらっていることは意義深いと思っている。
田中
・田中さんが認可された立場という事業所でいくのか、親の会の会長で言っているのかを問われた感じなのだが。
田中(沖縄)
・顔半分ずつにして
田中
・言った方にいろんな顔があるということで
田中(沖縄)
・私も岩月さんと同じ就労移行を行っている。はじめはしていなかったが、アセスメントをとるということでしている。
・自分でそれをやりながら不 満を持っている。それをどうしていくかということを自立支援協議会や育成会なりで運動して改善をということになるのだと思う。
田中 それでは増田さんにお願いします。38:14
増田
・田中(沖縄)さんが制度と日頃の実践で何か割り切れない消化不良の感覚は大事だと思う。
・ここのところで何に引っか かっているのかを問わない限り、た だ制度よるところだけが私たちの目標であれば、利用者本位なんか、利用者の利益を守るなんては絵空事になるからと思うからである。
・私は昨年秋に拙いアセス メントの本の原稿を書き終わった後、アセスメントには限界があると思った。
・アセスメントや計画策定というものが制度の中に組み込まれた時、本当にアセスメン トや計画が本 人の命や暮らしを映し出しているのか。
・むしろ、アセスメントには限界があるということから、私たちのスタートが始まらなければ、家族や本人の姿を見ること はできないのではないか。
・区分や分類も、様々な基準が政府の方から出されたが、それはほとんどデジタルである。
・でも現場ではアナログでやっていたのであ る。でもアナログ がどんどん崩壊してデジタル式の基本だけで取りまとめている職員が専門家になったような勘違いをしているけど、どこかで利用者の自己表出しての基本的な言 葉で表す言葉が聞こえなくなっているのではないか。
・それは静岡の作業所分会での利用者や家族の調査をした時にそのような声があったし、利用者たちが自分た ちがしている作業はわかるけれども、これを見て他の人は何をやっているのだろうか、もっといろんなことができるのではないか。
・仲間たちは何を。楽しいのだ ろうか。明日の糧の目標になっているか。みんな口々に言ったのである。
・現場がそういう情報を提供しないとしたら、絵空事になると思う。
・車に関わる仕事をし ていて、その部分が車のどの部分に役立つものかを知ることで、自分の仕事の立ち位置がわかる。
・そういう配慮をどこかでやらなければ、制度を自分たちのもの に消化することができないのではないか。
・田中さんの違和感が現場としてのものとして伝わっていかねばならないと思う。
田中
・自立支援法ができた時に仕組みを整えていく、措置という枠にお金が出ていたものを個別な人の生活に合わせて組み立てていくということであった。
・それ があまりにもパーツが細かすぎて、組み立てることが難しいことを伝えたら、それに伴うガイドラインものとして相談の仕組みを整えられたが、先ほど、田中さ んから提起されて、増田さんから現場で整えられていない情報が混乱を招いているのではないかということをお聞きした。
・金刺さんにこの10年間のところをお 話しいただきたい。
金刺
・一つ、最近アセスメントということがよく言われるが、無認可の作業所から37年間になる。
・アセスメントという言葉を聞いた時、「朝日セメント」と聞こえ た。そんな助成制度でもできたのかと思った。
・ここ10年間でアセスメントという言葉が入ってきた。
・和歌山県でこの大会をした時に田中統括から講演をしても らい、個別支援計画作成の内容をお話ししてもらった。
・その時、私はこういったことを思い出した。個別支援計画は、私の人生には生きません。
・まして、うちの 職員の作る個別支援計画といったら、自由に生きさせてということになる。
・障害のある人に、あるいは高齢になって人に自分の人生を決められなければならない のか。
・本当にアセスメントができているのだろうか。他人を知るということがどれだけむずかしいことかを日々我々は思っているわけである。
・私自身、作業所で の関わりは一人一人の仲間たちが教わった支援ということぱはあまり使ってきていなかった。
・精々共に働くという程度である。
・制度は枠、その枠の中で法に則っ た形で仕事を進めていくことになる。10年に比べると障害福祉予算は1.5倍に増えている。
・制度も出来上がってきた。人間の社会ではどんどん良くなってく るという幻想があるのかな。
・しかし、もともと変えてはならないもの、人間の本性の中で変えてはいけないものに正直に向かわなければならないのではないかと いう感想で良いだろうか。
田中
・今ちょっと難しい話になっているのは、アナログとかデジタルとかアセスメント、あまり普段使われない言葉で話が進んでいるので、少しわかりやすく整 理すると、措置であった枠組みに対してはあまり事務処理することはなかった。
・人数かける何円で、枠に対してのプログラムもそこで楽しく過ごしている風に見 えればよかった。
・その中で個別に暮らしを考えるとこのサービスで良いのか、このプログラムで良いのかということがあったはずなのである。
・であるので、そこ に個別の給付をしていく、それぞれの暮らしに見合ったお金を用意していくと言った時に、事務処理が格段に増えて細かい仕組みを組み立てお城を作っていたの が、平屋になってしまったというようなもの。
・本来、措置だった頃であるともう少しいくら万円もらえていたのにという思いも含めて流れがあるのではないかと 思うのだが、このお話しを続けると細かい制度論になるので、最後に増田さんに根源的なお話しをしていただく。
・その時に、これから地域にどのようにこの仕組みが生 かされていくのかというところに繋げていかないと、どの時点で何がよかったかというのは、今右肩下がりになっている少子高齢化の中ではかっての栄光はない し、すっかりバブルの頃を知らない世代の時代となっていることもあり、そういったことも織り交ぜていくと壮大なことになるので、こんなところで整理させても らい、次に岩月さんから人材育成の視点でお話しいただきたい。
岩月 要項掲載資料
・職員の育成ということについて当法人のことも含めて説明させていただく。
・法人を立ち上げた経緯について、要項の資料に掲載させてもらっているが、うちの職員にこれは再三聞かせているようである。
・今、当法人は倉敷市で19カ所で事業を行っており、職員総数が、151名、正規職員が87名、臨時職員が 5名、パート職員が59名となっている。
・パート職員の女性比率がどうしても高い。離職率なのだが、22年3月から社会福祉法人になっているので23年から のものとなっている。
・150人の職員規模としては離職率は低いと思っている。
・法人の中でOJT、Off-JTを含めての研修をしているが、法人として人事 考課制度と研修制度はリンクしている。
・要は新人職員が法人内で学ぶべきことスタッフリーダーが学ぶべきこと、サービス管理責任者、管理者が学ぶことは、 求められていることが違う。
・人事考課面で学ばなければならないこと、立場面で学ばなければならないことをできるだけ明確にして階層に合わせて研修委員会で 計画し実施している。
・人事考課シートは事業によって内容が異なる。OJTとしては法人で必ずしなければならない、権利擁護とか救急法はしている。
・さらに部 門別、うちでいうと児童、就労、生活の部門別の研修会、それから経験三年目の方とかの階層に分かれてのもの、事業所ごとの研修もあるというようになってい る。
・人にもよるが年間20回くらいの研修が組まれている。年間を通じて組み込まれたものと当人の希望によっても行われている。
・事業所ごとの研修としては交 通安全であり、リスクマネジメント、権利擁護の研修も独自に行われている。
・理事長としての職員の育成ということでいうと、職員は優秀で頑張っているし、事 業を行っている倉敷市の中ではスキルもレベルも高いのだが、昨日の第3分科会での廣瀬さんのお話にあった職員の社会性、物事を見る目とか、一方向しか見え ないとか、人間力とか、自主性というのが気になっている。
・法人ができて15年であるので、職員の平均年齢も30歳代なので比較的に若い職員であるというこ となのだが、来られる利用者にとって若い職員であるからと言って言い訳にはならないということは私にとって自覚しているので、できるだけ利用者さんには 先ほどのアセスメントの話があったように、来られた利用者には職員によって変わってしまうことはあると当全考えておかねばならないと思っている。
・私として は、若い方が自分からやろうとかやらせてもらいないかなどと言ってくれればと。
・職員は言われたことはきちんとできるのだが。
・私としてはきちんと責任を取る つもりであるので、もう少し踏み込んでやってもらえないかと思っている。
・最後に、倉敷市の方がおられないと思って、7年間倉敷市内の更生施設で職員をして いて、今から15年前に倉敷市に行って作業所への補助金をお願いしたとき、門前払を受けた。
・なぜ、法人でも保護者でもない人がするのかと言われた。今でも このことを覚えている。
・そこまでいうのであればなにくそと思い、この15年間してきた。
・若い人の中には私よりも福祉に厚く、能力の高い人が大勢いる。育成 ということから最後に知識だけでなく、人としてその子のために自ら立ち向かおうとするということを私自身どう伝えていったら良いのかと悩んでいる。
田中
・昨日の人材育成の分科会で、理念とか厚い思いとかが飛び交っていたが、今、パワーポイントで示してあった評価のシートへの記入などの事務量の負担が あるのに十分評価してもらえないということもあるのではないか、国の方でも高度行動障害療育研修養成講座などに是非職員に受けていただくということが言わ れている。
・受けたことで、知識と能力が上がるのかといえば、知識と能力を持たなければならないということを知っていただく機会にすると言い、なにもやらな いよりはやってよかったと。
・虐待防止研修も進めているが、この内容で同じような伝達ができるのか、これも厚い思いと理念ということになっている。
・個別な人 を養成する研修が揃いつつある中で、もう一度サービス管理責任者と相談支援専門員に意思決定支援の段取りを盛り込んでいくという動きになっている。
・何がど うしてどうすれば良いのかという議論をもう少ししては思うので、田中会長に三つの顔のどの部分でも出してもらいお話しいただければと思う。
田中(沖縄)
・NPOの小さい20人と40人の事業所で職員を募集する際に、何をしようとして来ているのかと尋ねると、仕事がないから、近いからといろいろと言わ れる。
・もっと働く目的をしっかり持ってもらう。理念なのか、優しさなのか、使命なのか、義務なのか、そんな目的を。
・その目的が壊れた時にどうフォローして あげられることができるのか、利用者が休日であっても休まずに出ていきたいという思いを共有することのできる職場であればと思っている。
・毎月一回、夜に職 員研修会を開催している。現在23人いるのだが、そのうち、20人が有資格の職員になった。
・社会福祉士が一人であとは介護福祉士である。事業所の中で資格 を取ってきた。
・半年前にその研修会をやめた。一人の職員がイベントを休みたいと理由も言って申し出た。すると他の職員からなぜ休ませるのかと訴えてきた。
・ こういったことを言ってくるようではダメだと思った。
・お互いを慮り助け合おう、理解し合おうという意識がなければ、利用者に対してもその傾向は伝わると職 員全員に話して、いくら知識を学んでもダメだと伝え、もう一度お互い考え直そうと伝え、研修会をやめた。
田中
・昨日の第3分科会での話し合いで、厚い理念や思いはわかったとしても、40時間の壁を超えるには、本当に福祉分野に事業が増えているので、かつての 頃のようには見てくれず、どうしたら良いのかということで福祉分野だけ60時間にという極端の理論も含めてしなくてはならないのか。
・田中会長が言われた が、働く意識がいろいろ違っていて、事業所で果たしていく目的をもっと明確にしてかないとわかったようなつもりでいくのではダメなのではないかというもので はなかったかと思う。
ここで増田さんにお話ししいただきたい。
増田
・制度というのは、人を分ける原理なのだ。制度と適用するということは、利用者さんを分離分類するということが前提にあるということ。
・でも現場はアセ スメントと言うチェックリストで捉えようとは現場ではしていないのではないか。ただ、再度措置制度に戻れとは言ってはいない。
・現場と制度 とのギャップのところを是正するよう、我々が取り掛からないと職員の共通理解が得られないのではないかと思う。
・私は年間30~40件の高齢者障害者事業所 の審査を行っている。
・そうした審査を通して痛感するのは、こんなにも市場原理というものが入っているのかということである。
・金になる利用者とは言わ ないが、ありありとそれが見える。
・放課後デイにしてもA型にしても何のために事業を立ち上げられるのかと尋ねると、言葉は綺麗だ。
・地域貢献だとか、利用者の尊厳だとかというのだけれど、そ うした言葉と実際事業所の出された書類とのずれをどうしても意識せざるを得ない。
・昨日もナイトセッションの中で話したのだが、この大会は育成会の事業所の 大会である。株式会社が利潤をいかに得るかという大会ではない。
・どこにこの会の趣旨があるかといえば、やはりもともと立ち上げた目的はなんであったのかと いうことを確認しておかなければならないと思う。
・倉敷市の一つ一つ積み上げていくやり方は大変参考になり、感銘を深めた。
・私は障害者関係のことを教えます が、一回もテキストを使ったことはない。テキストが使えないのである。
・次々と制度は変わるし、考え方も変わるし、さらに、使えるテキストであっても伝えら れるメッセージはたかが知られているのだ。
・だから、毎回毎回資料を変えるのである。
・そうやって今一番関わらなければならない課題やテーマをどうすれば若い 学生たちと学べるかということを岩月さんの研修のテーマと重なってくるのではないかと思う。
・ただ、一つだけ簡単に申し上げると、私は7,8年前から、重症 児者に特化した訪問看護、訪問介護の相談支援、今年からはお医者さんの検証をしているが、その中での一つのエピソードをお話しする。
・重症心身障害施設で暮 らす一人の十代後半の女性である。彼女がやっと動く左手で食事の介助を拒否するビデオを相談支援事業所のみなさんに見せた。
・「この場面を見てみなさんはど ういう理解をされるか」と尋ねた。会場から「早く食べろよ、忙しいから、わがままだな」と声が出る。
・介助の人が食べさせようとすると拒否する。その前にな ぜ食べないのか、なぜ、口を噤み、左手で拒否するのか、どうしてなのかという問いが、50人いた出席者から声が出なかった。
・彼女は意思表示をしている。そ の意思表示を受け止められないこの壁を破りたいと思う。
・どこかでこの壁を破らないと本当の声を聞くことができない。そういった利用者さんの思いを私たちは 理解できるようにならなければならないのではないか。
・研修というのはテキストだけでもって学ぶものではない。この壁を破り真の対話ができる関係になれるよ うなものにしていかねばと思う。
田中
・先ほどの行動障害の研修が入り口だという話と今のお話で気づきをどう作っていくかということが大事だということである。
・こういう気づきを学んでもら うのは映像が一番だと思う。
・それが伝達研修になるとよく理解しないままビデオを見てもらうとこんな大切なような人にやることは私にはできないと言って逃げ てしまう。
・それもこうして断ってくれることによりフルイをかけることになるので良いかとも思えるが、何れにしても気づきのある研修にしていかないと、人に伝 わっていかない。
・熱い思いとか理念とか、研修の形に置き換えていくのは、やはり難しいことかとも。
・研修の効果について調べている研究機関によるとだいたい 3割の人が気づけば研修として立派なものとして評価されているようであるので、繰り返し思いを伝えて、次世代へ引き継いでいくというのも大事であるし、先 ほどの増田さんのお話の気づきをどう日常の中で伝えていくかも重要なことではないかと思う。
・ここで金刺さんに少しお話をいただきたい。
金刺
・岩月さんから職場内研修についてお話があり、参考になった。
・ちょっと私の方でもエピソードがあるのだが、私どもの県に「作業所連合会・わ」というの があって代表者を5,6年してきたが、新しい制度になってからご多聞もれず少し会員が離れる傾向にある。
・今の役員さんと一昨日相談したことであるが、行政 の補助金もどんどんなくなってきている。
・なんとか我々で資金を稼ごうということで、連合会で研修会を実施し、少し研修費をいただこうということになり、 やってみてどの研修会が一番集まるのかということがわかった。
・寄付金補助金の受け方という研修会をするとたくさんの人が集まった。加算や処遇改善の申請の 仕方なども大勢集まった。
・50名定員が一度でできなくて、3回も開催するようになった。これが事業所の実態ではないかと思う。
田中
・放課後デイサービスについて、範囲が広がったこともあり、評価もまだ甘いことがあり、いろいろと毀誉褒貶があるが、昔でいえば利用する人が限定され ていて、枠組みに対して保障されていたけれどサービスを待たされる人が圧倒的に多かった。
・それを考えると個別にお金がついたということは良いのだが、今の 金刺さんのお話のように利用する人への関わりすらもお金しか見えなくなっているような状態は困るなあということである。
・ここで田中さんの意思決定支援や個 別のサービス利用計画などについて進めたいと思ったが少し意見交換の中で出ていたので予定を変えて、増田さんに事業所の意味を改めて整理していただきなが ら、話し合いの中で、また出て来れば良いかなと思うので、増田さんよろしく。
増田
・金刺さんの言われた作業所連合会の研修会に私を呼んでくださる。
・テーマは、倫理、人権、尊厳である。今、話題提供をいただいて思ったのはそういう話題で 研修を受けさせられる職員さんは多分たまったものではないなと思う。
・事業所側としては、職員研修であるから全員出なさいと言われて出ているのであるから大 変だろうなと思う。
・もう少し役に立ち話をしろよと、話が終わるとおなたのお話は役に立たないですねといった感想ばかりお聞きしているので。
・それはさておい て、でも私の一つのスタンスは「松のことは松にならえ、竹のことは竹にならえ」という松尾芭蕉の言葉だが、松に100本尋ねても松の心はわからないです ね。杉や檜と比べても松のことはわからない。
・一本の松が語っていることに耳を傾けてこそ、松の本当の心がわかるのではないか、臨床であれ、現場であれ、命 が立ち上がっている現場であるとすれば、松のことは松にならえというしかないと思う。
・ここがスタートラインだと思う。私が言いたいことは要項に掲載されて いる。 要項掲載資料
・金刺さんの仲間に加えてもらい、毎年宿題をもらってアップアップである。
・でもその中で、感じるのは作業所というものは、一つの就労や訓練、介護の 現場のみならず、居場所であったのでないかということである。
・英語ではなかなか言い表せないのだが、一人一人の利用者の居り場や持ち場、そうしたよるべのあ る場ではないかと思っている。
・トボスというギリシャ語がふさわしいのではないかと思っている。
・生も死も含んだ住み慣れた場所としてのそういう居場所がもと もとの作業所のスタートラインではなかったのかなという風に思う。
・この居場所というものは、制度には書かれいない。
・制度に書かれていないが、親たちが親亡 き後も含めて作ろうとした、こうした命の営みの場所、居場所を永遠に作りたかったのではないかということを学ばせていただいた。
・これが制度の仕組みとどう 絡んでくるのかというところが、田中さんや岩月さんからの提起ではなかったのかと思う。
・働くってことはどうなのかということを田中さんは言われた。
・本当に 人間にとっての安らぎというのは、労働の中に安らぎがあるのだ、仲間たちの中で安らぎが生まれてくるのだと言われていて、とても大切なことを伝えていると 思うが、利用者たちが就労しなければ自分の存在証明ができないという仕組みは間違っている。
・就労しようとしまいと、それぞれが作業所の営みを通して自分の 存在証明ができる、おのずとそこに自分の居場所が見つかる、こうした原点は大切しなければならないと思う。
・私はアセスメントを専門にしている。そうすると 課題思考になり、何ができて何ができないか、本人が作ったものでなく、制度が作ったものである。
・それで我々はアセスメントする。そしてそれで計画を策定す る。でもそこには人生や生活の設計はどこにもないのである。
・サービス利用計画と言っても、個別支援計画と言ってもただサービスを組み立てているだけではな いか。
・これでサービス計画を作っていくら、計画策定したらいくらと言われると、それは事業者側の都合のことで、利用者の人生や生活が組み込まれているとい うことはないではないか。
・そのことを強く強く相談支援研修で言ってきた。たとえ、アセスメントや計画策定を武器にするのであれば、それを利用者本位の仕組 みにして行かねばならない。
・つまり利用者は何をしたいのか、どのように思っているのか、今から明日にかけてどんな夢を持っているのか、一緒になって考えて いく機会にしなければ、アセスメントはどこまでいっても外部評価に過ぎないのである。
・だから作業能力による振り分けでなくて、特に重症心身障害者に関わっ ていると(もともとは重症心身障害というのはコミュニケーションが取れない人ということである)、実は関わる我々が重症心身障害者とのコミュニケーション の手段を確立していないことに気づく。重症者にコミュニケーションがないのではなく、受け取る我々にその手段が確立できてないということ。
・親たちはそんな 困難な状況であってもコミュニケーションをとっている。一緒になって生活をされてきた。時には間違いがあり、また正しいこともある。
・それもこれも含めて実 は物語なのである。生きてくための物語であり、生き行くためのもの。多様な考え方の実現という言葉がある。
・でも、雇用か非雇用か、就労か福祉か、一般就労 か福祉就労か、どんな障害があるか、いつも疑問方法的な基準に追い回されている。
・どこかで、障害のある人の生きづらさや働きづらさになっているのではない かということも感じている。
・分けられるというのは心地の良いものではない。制度は人の尊厳を課すというが、分けられるというのは自分の尊厳を傷つけられて いると思うのである。
・就労が所得保障の場だと言われるが、私も金刺さんと一緒にNPOの理事をしている事業所があって利用者、親、学校と企業といろいろと 議論をした。
・議論するほど商品価値、付加価値が話題になる。もちろんそれは正しいことだ。
・一つの作品として商品として地域に貢献できるのかということは正 しいことである。
・最後になるが、働き方支援とよく言うが、働きたい支援ではない。働きたい支援のフログラムを作らないかというと時期尚早と言われる。
・ 今から始めなければ明日はない。私たちは、働き方支援でなく働きたい支援には届いていないと私は思っている。どうしたら実現できるを議論したいと思ってい る。
田中
・ここで会場からのご質問やご意見をいただきたい。
永田(社会福祉法人 めやす箱)
・めやす箱で7年間勤めている。生活介護事業所で管理者をしている。
・中にたくさんのスキルを持っている方がいて、まだなぜ働いていないのかと思いで支援して いたと思っている。
・就労の目的ということでどうすればお金を稼ぐことができるのか、尋ねられたこともあり、その人にとっては働き方というものを見つけてあ げたほうが手助けになるのではないかと思ったこともある。
・また、家族の中にも障害のある人がいない私が障害のある方が幸せになるのか、将来人生が豊かにな れるのかを考えた時、現場にいて正直絶望を感じたこともあったのだが、昨日からの話の中で、障害のある人のこともまた自分のことも含めて考えていかなけれ ばならないと感じた。
・就労の場だけでなくて、その人の生き方という中で考え方をアドバイスしてもらった。また、第一世代の人からは現場が教科書だよとの助 言ももらった。
・そういうところが我々若い世代にとって新鮮な言葉であり、なかなか伝わってこない言葉がたくさんあるであろうから、こういう育成会のみなさ んからいただければありがたいと思う。
大石(愛媛県多機能事業所 ひかり)
・うちでは、B型事業所と生活介護をしている。ほとんどが無認可事業所から引き続いての利用者である。
・いろいろと本人から話を聞いたが、いくら重度であって も働きたいと訴える。
・その中で、B型の仕事と生活介護の作業をきちんと分けるのではなくて、一緒になって品物を作るようにした。できた製品にはB型と生活 介護のそれぞれの人が携わってのものとなっている。
・最近、学校を卒業した人が実習でくるが、家族からまた学校側からB型に是非にと言われる。本当に重度の方 でもB型にと言われる。生活介護であっても仕事もあり、給料もあげていると言ってもB型にと。
・学校を卒業すると就労でなければいけないと思っておられるの ではないかと思う。
・1週間ないし4週間の実習を見て、なんども話して生活介護を理解して入っていただくのだが、B型に固執される方をどのようにしたら良い か教えて欲しい。
田中
・3年後の見直しの中で、提案したのは、就労移行で就労したいという人については、2年と言わず3年でも4年でも。でも、報酬は見直しされることには なる。
・働きたいという意欲を持ち続けて就労に向かっていますというのは点を下げることはないのではないかという考え方とその区分で分けているB型と生活介 護というだけならば、今、言われたプログラムで役割があって、この日この作業にというように一つの製品を作るのに工程ごとに分担させるとか、この時は創作活 動をしてもらうなどプログラムを作ってしてはと提案したが、B型でなくてはという団体から今そのようなことはすぐにはということがあったり、厚労省も検討の 余裕がなく取り上げられなかったが、改めて働きかけなければならないと思った。
・働くということに何を求めてくるのかについては、後ほどお答えをいただく。
木村(社会福祉法人めやす箱)
・先ほどの助成金の研修のお話が金刺さんからあった時に会場から笑いがあって思ったのだが、福祉の原点ということからは、家族の人や本人の手助けをしたいと いう熱い思いが原点であり、原動力であると思う。
・大学で四年間福祉の勉強をしたが、福祉はサービス業であり、利用者がサービスを求めて契約で利用するもの であるということは教わってきた。
・法人の中に入ってサービスをどのように展開していくか、自分自身がどうしたいのかというだけでなく、この地域で何を必要 としているかということを見つけることが大事であることを教えてもらった。
・それをするには制度をよく知らなければならないとサービスを展開できないことも よくわかるし、今ある制度の中でサービスを提供し、活用していくことが事業として求められているのではないかと思う。
・先ほどの制度や助成金などの研修を法 人の中でもしているところであるが、それはなぜするかというとお金をもうけることが目的ではなく、収益をあげることによって人員配置が切迫している時に 収益をあげたものを手当てすることで利用者に還元するようにしている。
・加算をあげるというのもB型事業所で目標工賃向上での加算を取得することで収益をあ げることになり、新たなパートを雇用することになり支援が手厚くなるということも感じている。
・法人で収益をあげることによって、地域でサービスを受けられ ていない方の受け皿を作り、地域のニーズを満たすことができるものであると思っている。
・福祉において利用者や家族からお世話になっているとの声かけが励み になるが、サービス業であることを心に止め、その言葉に甘えないようにしなくてはと思っている。
田中
・3人の方から会場の方への回答とまとめをお願いしたい。
岩月
・うちの職員がこのような場で二人も発言して直接聞きに来いと。
・保護者でもないサービス事業者であるものとして障害のある本人や家族の思いをどれだけ 具現化できるかということを考えていないといけない。
・うちのサービスが一番だということはありえないという意識を持ってこれで良いのか、もっとするべきこ とはないのかと戒めていかねばと思っている。
・当然、福祉はサービスという言葉は使うということになっている。したいことをするなというのではなくて、する べきことがまずあって、それをやれるようになったら、当然したいことを職員もするべきだと思っている。
・ただ、難しいのは、頭でっかちになってする福祉論だけで、で きることばかりではなく、少しずつ経験を積み上げて社会性を身につけて基礎ができ、自分たちの福祉の具現化がいつかできたら良いなと思っている。
・人員配 置で足りてないことはうちの法人ではないので、ただ言葉の表現が悪かったと思うのだが、ただより良いサービスにするにはもう少し人がいた方が良いと思った のだと思う。
・しかし、人員は足りている。それから大石さんのお話だが、うちも当然同じような悩みがある。支援学校を卒業された保護者の方からある。
・区分の 5や4でも就労に行かせたい、若いうちから介護というところに行くことに抵抗が保護者にあることを事業者としてどうこう言うこともできないし、たまに言わ れるのは同級生の人がB型に行くのに我が子は介護と落胆する人もいる。
・事故のこともあるので無理はできないが、とりあえず理解してもらって生活介護に当 面という方や、どうしてもB型と言われれば当面B型で対応していくこともある。
・1年2年やってみて話し合い、適切なところへ移動してもらっている。
・明確な お答えは出来ないが、どうするかという決まりはなく、一つ一つ向き合っていかなければならないということで、やっている。
田中(沖縄)
・まず大石さんの話はよくわかる。ただ介護という言葉はよくないと思う。
・どうしても高齢者のイメージと混同してしまう。これは個人的な意見。これが最 後ということでお話したい。
・医者の中に知的障害ということを知らない人がいる。なぜかというと医学用語で精神遅滞というからである。
・こういう知識の問題や 名所の問題で意識で違うのであろうなと思う。今日、一番に私が言いましたことを誤解がないように話したい。
・なぜ、働かなければならないか、働ける方、働け る能力のある方、意欲のある方はどんどん進んでそういう場を提供してもらいたい。
・ただ、知的障害のある方の中で、働くことが厳しい方、圧倒的に多いと思う のである。
・そういう方への支援がもっと厚くできないかということを言いたかったのが親としての気持ちである。
・将来の設計のことだが、自分自身の設計だって 10年後20年後、何年生きているかわからないのであるから。
・10年後はこんなことをしようなどと考えたこともない、その場その場を生きてるものが人様の アセスメントをどのくらい認識できるか、その方をどのくらい理解しているか。
・実はよく怒られるのだが、「そこの前のものを取って」と家内にいうだけでわか るが、それはリモコンのこと。
・40数年一緒に暮らしていてもわかってもらえるところとそうでないところがあるわけで、そんな状態で人様のことをどれだけわ かるだろうか、最初の絵で見てもらったように見方が変わるので、自信に繋がってない部分がある。
・昨日、厚労省から処遇改善の話があると事務員をどうしようと いろいろと考えてしまう。
・成果主義、効果主義などと言われると報酬単価の認識は持っているが、増田さんが言われた、この方たちの居場所、本当に日中あそこに 行きたい、休みはいやだ、行きたいと言われるような事業所だろうかといつも考えている。
増田
・事業所のことはお二方からお話があったので、触れないことにするが、一つだけ、静岡県の藁科学園という知的障害のある施設がある。
・2012年から の事案だと思う。利用者が夕食後散歩に出かけた時に19歳の青年がバイクに乗ってやってきて利用者を避けようとして転んで対向車にはねられた。
・翌年家族が 利用者と施設を相手取って裁判を起こし、地裁も高裁も施設側が負けたのである。そして今最高裁に上がっている。
・その事案を追いかけているとなぜ夕方に出な いように門や扉に鍵がないのかということで負けたのである。
・認知症の問題は新聞一面トップで出るのに、この問題は新聞にも大きく取り上げられていない。
・こ の夕食後の散歩は利用者にとって大切な楽しみであったし、いつもやっていたことである。
・でもこれが最高裁で地裁や高裁と同様の判決が出たら、出ることを規制することになる。やっとこれまでの運動で少しずつ地域に出ていけるようにしてきた。
・もう後戻りはできない。その時の議論の中でもっと職員を増やせと言わ れる。いくら増やしても利用者が自分で鍵を開けて出ることまで制止はできない。
・そうすることは筋が違うのではないかな。
・最後に一つ、日本は契約関係を結ぶ ということになっているが、アメリカでは信任関係、信託責任、医療や福祉の方に信じて託しているのである。
・契約ではないのである。信任関係、信託関係に。 そこに本当に生まれてくる現場があるのではないかなと思っていることを申し上げ、終わりたい。
田中
・最後に、金刺さんに挨拶をしてもらい、このセッションを終わりたい。
金刺
・2時間このシンポジウムに参加いただきありがとうございます。コーディネターの田中統括、シンポジストの田中会長、増田さん、岩月さんにお礼を申し 上げる。
・感想を二つ。
・岩月さんのところの若い二人の方から発言があった。事業所を経営しているものとして経営がわからないものは無責任だと言っている。
・ もう一つは増田さんからの話で居場所の話があったが、場の字を昔、庭の字で表すことがあった。庭は家庭も庭である。
・今日のお話を聞いていて、単なる場所の場で はなく、昔の人は庭の字も使っていたということを改めて勉強したいと思う。皆さんありがとうございました。