第3分科会 テーマ「育成会活動」
会 場 8階 第7会議室 参加者数 41人
基調提案者 全国手をつなぐ育成会連合会 会長 久保 厚子
運営責任者 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 難波 幹雄
司 会 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 荒井 幸治
司 会 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 妹尾 純子
提 案 者 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 歌川 建造
提 案 者 岡山市手をつなぐ育成会 奥田美由紀
記 録 者 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 荒木 美幸
難波運営責任者から、分科会の運営上の諸注意があり、荒井・妹尾さんの司会で開会。
基調提案「育成会活動の活性化と今後の課題」
全国手をつなぐ育成会連合会 会長 久保 厚子 氏
配布資料
提案要旨
1 育成会活動とは
・私は重度障害の当事者の親である。下に二人の子供がいる。
・30歳頃から育成か活動に参加。母親の立場から話をしたい。
・育成会組織の意義
・本人が推進役になる。制度が変わるので、明日に同じではダメ。育成会活動の根は同じでも社会により変わっていく。
・実行とは自己改革であり自己否定。
・全国手をつなぐ育成会は、社会福祉法人を解散して新たに連合会として結成。
・社会福祉法人としての事業はしていないので、自ら解散。以前は差別と偏見が激しかった。結集して制度を作り上げた。
2 今までの成果
・精神薄弱の中身を変更した。
・知的障害の人にも年金をとの活動をした。JRの半額割引、手当の支給など。
・障害者扶養共済年金は月二万円の年金。これも育成会により実現。国も何億というお金を支払っている。特別児童扶養手当も育成会の運動で獲得する。
3 支部活動について
・市町村育成会活動について
・若い親の加入がない。役を持つのが嫌。高齢化、本人がグループホームに入り、退会。役員を代わってくれる人がいない。
・市町村合併などで活動が低下。行政や社協からの補助金の減少。
・地域の育成会への無理解。生まれてから死ぬまでの幅広い活動で理解されない。
4 これからの課題
・組織力の強化
・仲よし集団のようにチームワークをよくする組織ではダメ。
・リーダーはスーパーマンではない。リーダーは権力ではなく信頼が大切であり、会員の声をよく聞くこと。
・理念や目的を明確にする。
・コミュニケーションを大切にする。ミニグルーブにも参加。障害に関係なくお茶会など開催。大津市は滋賀県の南端であるので、県内5箇所で懇談会を開催。
・コミニュケーションは、学習を促し、グルーブを成長されることになる。楽しいこと、嬉しいこと、困ったこと、不安なことなんでも話し合えるところに集まってくる。「悩み」「愚痴」は「夢」「願い」の裏返し。
・地域での理解を得る。行政、警察、消防署、病院などへの働きかけを
・全国手をつなぐ育成会で警察への啓発冊子を作成し配布した。各県の育成会を通して警察署に届けてもらうようにしたが、受けとってもらえないところがあるというので、警察庁に。
・警察学校で知的障害者への理解のため講座を設けてもらい、出向いてお話ししている。
・消防署にも緊急な場合対応できるように地域の障害者について啓発と情報交換を。大津市では災害のときに近くの作業所を避難場所に指定。
・若い親への働きかけで、堺市では若い人たちの集会で参加がわずか2,3人でもやめないで続けるように支援している。ミニでもコツコツと支援を。
5 全国の育成会連合会の仕組み。
・各センターや各委員会の事務局を6つの県にお願いし、活動している。
・各県からの要望を取りまとめ、国へ働きかけたい。厚労者では、当事者団体である育成会の意見は重視されている。
6 V字回復はできなくても、諦めずに、ニーズを課題にコツコツと
・育成会の活動は、地下水。社会である大地を潤し、人を育てる。その歩みは遅くても社会に役立ち、社会になくてはならない活動。
提案1「地域連絡協議会の設立に向けて」
倉敷市手をつなぐ育成会 会長 歌川建造 氏
1 倉敷市手をつなぐ育成会の組織状況
・地域親の会として7つの地域があったが、5地域に減少。
・施設親の会は5つの組織がある。
・学校関係には4つの組織があったが、次々と退会
・作業所関係では、2つあったものが1つに。
2 退会の理由
・地域親の会については、会員の減少と高齢化により参加できない。
・学校関係は、メリットがないことと日曜日祭日の行事に参加できない。
・作業所関係は、組織再編に当たって共通理解が得られなかったため
3 地域連絡協議会設立のねらい
・地域での活動のは活性化させるための組織強化
4 今後の取り組み
・各参加予定団体のニーズの把握
・「我が子のために」という共通スローガンのもとでの活動実施。
・警察、交通機関への「知的障害者特製のアピール」
・行政機関への陳情
・情報交換及び他地域の活動状況の調査
・今後の行動計画を立案し、来年3月中に設立したい。
提案2「育成会活動の活性化と今後の課題」
岡山市手をつなぐ育成会 副会長 奥田美由紀 氏
配布資料
1 岡山市手をつなぐ育成会の歩み
・資料に沿い、昭和30年から平成18年までの経過について説明。
・平成12年には社会福祉法人を立ち上げてA型、B型事業、生活介護や福祉ホームなどを運営。この法人とは分けて運動団体として育成会として活動を継続
2 近年の主な活動について
(1) 「参加から始まる育成会活動」として会員が楽しく参加できる事業展開
・資料とスライドで説明。
・クリスマス会、お楽しみ会、親子サマースクール、親子料理教室、インターナショナルキッチン、和太鼓やダンスサークル、お出かけ練習、バス旅行など
・こうした行事に協力していただいたのは、高校や大学のボランティア、3B体操のグループ、ロータリークラブなどの皆さん。
・これらの行事に参加してくれる若い親の皆さんが育成会活動に目を向けてくれるようになり、会員が増えてきた。
・事業所見学などの行事も入れて、将来への備えに。
(2) 保護者に向けた子育て、家族支援
・子育て、家族支援向きの研修会を医療や福祉の専門家を招いた研修とか、「荻野塾」「黒田塾」というミニグルーブでの話し合いも。
・子供を抱えて研修会に参加できない親には、サマースクールと抱き合わせで開催し、子供がスクールで面倒を見ている間に研修に参加できるように。
・先輩の親たちの研修会では、若い親たちが先輩の経験を聞き、大変参考になり、家族支援として役立っている。
(3) 相談支援
・毎月第2木曜日に誰でも参加できる「しゃべろうDAY」を実施し、障害者相談員が関わり、日頃の悩みや困り事の解消に。
(4) 会報による情報提供
・年2回発行。行事の紹介、知りたい情報などわかりやすく楽しいものに。
・私もこの会報作成に11年間携わり、移り変わる制度や身近な福祉の話題など調べたり、研修内容をまとめたり作業でより深く理解できたこと、取材でいろいろな立場の意見を聞くことができたこと。
3 これまで取り組んできた育成会活動を通じて感じたこと
・大学やロータリークラブ、地域で活躍している方々と関わりの中で、育成会の取り組みや障害のある子供について知ってもらい、支援してもらう機会が増えた。
・親にとって「子供が生き生きと活動する」「子供の成長を感じる」ことが一番嬉しいこと。育成会活動が、気兼ねなく参加できる活動を通して子育てへの意欲を高める一助になれば。
・幅広い年代の親同士が顔を合わせて話し合える場を設けることが大切であると考えている。
4 今後の課題
・今後の活動を継続していことが困難に。
・会員の意識がどんどん変化。高齢化。参加したいが、企画や段取りの活動が嫌。都合の良いものだけ。
・デイサービスの充実で働く親が増え、参加する機会が減っている。活動を中心に支えていく人が少なくなり、継続が困難に。
・これまでの活動を継続するのか、本当に障害のある子ども二とって必要なものか、精査し、「やりたい」という気持ちを育てる必要がある。
・これまでの育成会が果たしてきた努力が、今の恵まれた福祉があるのだという感謝の姿勢も大切。
質疑
Q1 久しぶりに県大会に参加した。私も高齢となったが、参加者数が減少し、若い世代の人がいないように思う。もっと若い参加者を。その方策を。
A1 岡山市の育成会はよくがんぱっていると思う。全国的にも若い親の参加を狙い、サマースクールをしているところは多い。大津市でも50年前から行っている。 以前は自分たちだけでしていたが、市から補助金と場所を提供してもらい、市内5カ所でボランティアの学生に協力してもらい実施。どの会場も20日間開催。 夏は土日以外は全て開催。
・全国的に若い親のみなさんを集めての研修で人気があるのは「性」の問題。本人向けと親向けの研修。性についての直接的な対処の仕方ではなく、いかに男ら しく女らしくするか、持てるようになるのか、嫌われないようになど、その所作の指導が中心。全国にも何人もいて、大阪に良い専門家がいて報酬も高くない。
・年金の話。支援学校の高等部対象に司法書士の方と一緒に手続きの仕方を教えて回る。これで会員が増えているところがある。
・地道にしているところは堺市。二人でも三人でもやろうというと若い人を応援すると熱心に少しずつ増えてくる。
・広島ではアビ隊という知的障害の特性を寸劇によりわかりやすく啓発するグループを作り、各地域で活動している。これは、地域の人たちばかりでなく、親たちにも障害をちゃんと理解させるために良い活動だと思う。こうした活動で少しずつ増えてきている。
Q2 性の指導について、何度も研修しないと効果がないと思う。専門家を紹介してほしい。謝礼のやすい人を
A2 全国育成会で紹介しても良い。大阪に良い専門家がいる。研修する際に事業所の職員にもきてもらい、学んでいただき、本人への指導をしてもらうなど、地域で指導できる人やグルーブを。
Q3 地域連絡協議会として活動しているが、いろいろと問題や課題がある。その場合、県育成会から来てもらえるのだろうか。
A3 来てほしいとの要請があれば、いつでも出向くので、連絡してほしい。
Q4 今まで、育成会の事務局を教育委員会がしていただいたが、この度、福祉の方へ移った。地域でいろいろとつながりを持って活動することが、今日のお話で大事なことがわかり、大変参考になった。
Q5 県の育成会では毎年赤字となっている。どのように資金を集めたら良いのか教えてほしい。8年間、警察や交通機関へ要望に回っているが、温度差がある。警察 学校では障害者についての理解講座もあるというが、身体障害に関すること。交通機関はよく理解してもらえるようになった。どのようにするとスムーズにでき るのか。
A5 お金の問題は全国のもの。全国育成会は改組してから、正職員は採用していないことから資金に余裕が出てきたので総額で2,000万円位地方に研修会のため の支援をしたいと思っている。あと、ライオンズクラブとか、社協など毎年行われる事業には出さなくなっているが、このようなものを新たにというと出しても らえる団体や企業もあるので、そうした働きかけをしては。
・郵貯銀行も出してくれる。全国的に呼びかけて育成会枠を設けてもらえる運動をしたいと思っている。
・地域支援事業の啓発事業として、地域拠点作りや視察のためのものに補助金を出してもらっている。
・警察庁に啓発冊子を受け取ってもらえないところがあると言っていくと、それはどこですかと言われたので、対応がよくないところがあれば、全国育成会へ。
まとめ 久保会長から
・皆さんからいろいろと意見をいただいた。
・市町村育成会の意見を県育成会を通して全国へ是非。
・最近、国の方の話をすると、カタカナ語が多いと言われるが、国の施策に振り回されるのでなく、育成会として本人のことを考えながら、運動を進めていきた い。ただ、漫然と本人の代弁をしているのでなく、本当に本人はどう思っているのか、寄り添ってその思いを探りながら本人のための活動が大事である。学校や 事業所の皆さんも本人の良き代弁者でもある。親の見る目とそれぞれ関わっている人たちの見る目は異なる。それぞれの見方を参考にして本人の思いを確かなも のに。本人の良き代弁者になろうと言って締めくくった。