第3分科会 テーマ「育成会活動」
第3分科会 テーマ「育成会活動」
会 場 1階 大ホール 参加者数 146人
運営責任者 | 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 | 歌川 健造 | |
司 会 | 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 | 徳田 公裕 | |
リレートーク者 | 通所利用者家族会 | ネイチャーファーム家族会 会長 | 池田 道人 |
入所施設支援利用者家族会 | ひまわりの会家族会 副会長 | 秋元 武久 | |
グループホーム利用者家族会 | 津山みのり学園障がい福祉部家族会会長 | 河本 修治 | |
事業所 | わくわくワーク 施設長 | 五代儀幸司 | |
助 言 者 | 全国手をつなぐ育成会連合会 会長 | 久保 厚子 | |
記 録 者 | 岡山県手をつなぐ育成会組織委員会 | 石原眞季江 |
歌川運営責任者
・まず、リレートーク者であるひまわりの会家族会の大石美重子さんが急遽都合で出席ができなくなり、秋元武久さんに変更になったことの断りをして、分科会の運営上の諸注意があり、徳田さんの司会で開会。
司会
・本日の司会をする、岡山県手をつなぐ育成会組織委員会の委員である徳田の自己紹介をし、リレートーク者ならびに助言者、記録者の紹介を行う。
・まず、リレートーク者から、要項に掲載されている資料により、それぞれの家族会ならびに施設の内容の説明をいただきたい。
池田さん(ネイチャーファーム家族会)
・私たちの家族会は、平成14年4月に福祉工場いずみというのができて、その時から通称ネイチャーファームと呼ばれていた。この事業所が平成19年の自立支援法施行に伴い、事業所の名前もネイチャーファームに改称。
・もともとのいずみ保護者会であったものをネイチャーファーム家族会という名称に変えた。
・私たちの家族会は、ここの利用者の自立と生活の伸長のために協力するという立場で立ち上げたものである。
・この事業所は、就労継続A型の事業所で、利用者は21人。事業内容は、二つでパン工房と花工房である。この11月から花工房に1人か加わり22人となっている。本日の他の事業所と比べて人数は少ない。
・家族会は、2~3ヶ月に一回という割合で、平均すれば年に6~7回。主に家族会の活動は、毎週木曜日の午後2時間ほど行っている。その他は事業所から二 週間ほどから依頼があってパン作り、パック詰めの手伝いを大きな注文を受けた時にしている。それから毎週木曜日には、花工房の手伝いもしている。
・それから家族会でしている内容であるが、見知らぬ家族が一堂に会して話すのだが、事業所で作ったパンや飲み物を家族会の会員に買ってもらってそれを持ち 寄って会議の場で食べながら話し合っている。要するに私のところの目指しているものはなんでも自由に遠慮なく話し合うということで毎回実践している。
・私どもの泉学園の中に泉の園という施設があるが、そことディセンターさくらと三つの施設合同で年一回研修会をしたり、親睦旅行をしている。
・この会議には、毎回管理者の出席を求めている。私たち家族ではできないところ、また、事業所に対する問題や要望を直に聞いてもらったり、逆に事業所から 家族会への協力の提案などが、ここでされている。要するに問題解決を早くやろうという意味を込めてこういう形をとっている。もちろん、情報伝達や交換、相 談なども行われている。
秋元さん(ひまわりの会家族会)
・ひまわりの会の事業所は、家族会が立ち上げたものである。1970年に10数人の家族たちで組織されてきた。「共感、共育、共生」を基本概念として法人を設立してきた。
・現在、会員の数は344人である。法人の事業は、日中活動と生活支援が主なものである。日中活動としては、生活介護と訓練、就労継続A型、B型、移行。 また、一般就労している子供も多くいる。生活支援については、入所、通所されている方の支援。グループホームも20もあり、利用者の人数は351人であ る。施設入所支援の方が110人、通所されている方が約90人、グループホームなどが約 150人ほどである。
・家族会は、毎月第4日曜日に開催されている。奉仕活動や地蔵盆祭りや春まつりなど。組織としては、八つの事業所があり、それぞれに家族会を作っている。奉仕活動としては、施設内外の清掃や除草などを行っている。
・その他には、家族の意見交換とか相談とか、当然事業所の職員や管理者も出てきているので、事業所の活動内容や家族会からの要望などのついて話し合いを行っている。家族会全体と各事業所ごとの家族会の開催は半々ぐらいである。
・本部の方では、なんでも相談と言って第三者委員にも入ってもらって毎月いろいろな要望などについて協議している。
・家族会の行事としては、全体での親睦会、本人も一緒での食事会を開催している。また、毎月家族会だよりを発行して活動内容など周知している。
・それから、家族会でNPO法人を立ち上げて成年後見を行っている。利用されている会員が210人いる。そのうち、申し立てをしている人が120人いる。これも8事業所に分かれて身上監護なども行っている。これには、弁護士などの専門職の人も加わっている。
河本さん(津山みのり学園障がい福祉部家族会)
・私の一つ上の兄がグループホームでお世話になっている。
・家族会の前身は、親亡き後子供達を託す場所がほしいという強い願いから、昭和35年9月に結成された津山市精神薄弱者父母の会である。保護者である父母の高齢化により、兄弟姉妹、親戚の方が増えてきたため、平成23年に障がい福祉部家族会と改名した。
・津山みのり学園には、障がい福祉部の外に児童福祉部、高齢者福祉部があり、それぞれに家族会がある。また、障がい福祉部には四つの事業所があり、それぞれに家族会がある。これらの家族会にはそれぞれに代表がおられる。
・私も一つの事業所家族会の代表であり、全体の家族会の代表を務めさせていただいている。
・津山みのり学園は、昭和39年10月から故牧野弘典初代園長を中心にした職員の方々と故山口弥三郎初代家族会会長を中心とする父母の会のみなさんが毎週 日曜日に手弁当で津山市二宮大東の地で開墾、整地、建設に汗を流され、昭和40年6月6日に開園された。昨年、創立50年記念式典が盛大に開催されたが、 開園当初は6名の利用者と3名の職員さんでスタートし、現在で約1,000名の利用者さんと約260名の職員さんが在籍している大きな施設になった。
・福祉サービスの内容、家族会の主な内容などについては、要項を見てほしい。
五代儀さん(わくわくワーク)
・私は、唯一事業所の立場でということで、若干アウェーの立場でこの席に座らせてもらっている。その辺り、お手柔らかにお願いしたいことと、私は決して岡 山県内にある事業所を代表して座っているという気持ちはない。ごく1事業所が座っているということでご理解ご容赦をいただきたい。
・リレートークということで肩肘張らず、気楽に話して良いということなので、失言だけはしないように話したいと思っている。
・私は事業所の立場でということで、特に家族会については、要項に書いていない。一つ訂正をお願いしたい。わくわくハンド・ベルのところが就労継続事業所となっているが、就労移行事業所に直していただきたい。
・この金曜会というのは、金曜日の夜に法人設立の会議が行われていたということで、その名前が法人名となった。
・私が所属している施設はわくわくワークである。それから、三つ目のわくわく祇園’sの二カ所の管理者させていただいている。
・わくわくサポートセンターというのがあるが、これが大事なもので、今日登壇されている泉学園、津山みのり学園やひまわりの会のような歴史のある大きな法 人ではなく、後発の事業所で設立して20年になるが、わくわくサポートセンターの右側にある事業、特に公益事業を20年前から取り組んでいる。20年前と いうのは、今のような障害者総合支援法などなかったし、その頃は措置という法律の元にサービスが行われていたということで、私の原点は、レスパイトという サービスである。
・レスパイトというのは、ほっと一息つくとか、休息する、休憩する、少し休むなど、このレスパイトというサービスの元に事業を行ってきた。これは、ご家族 がほっとするというのが使命であって、家族がほっとしつつ、本人が楽しめる、そんな事業を、公益事業の中で行ってきている。そういったことの説明で法人の 事業について理解してもらいたい。
・うちの家族の会というのは、本人と家族の会という名前で運営している。本人をつけているのは、ご家族がおられない方もいるからである。
・家族会は年三回行われている。年二回は総会。もう一回は家族作業日、家族参観日ということで、一週間、法人がどのような取り組みをしているのかを来ていただいて見てもらっている。実際に家族の方にも加わってもらっている。
・うちの法人には就労系の事業所が多いから利用者の人たちが作った製品を販売するためのバザーであるとか、イベントなどが年間数多くあるので、そういった ところへのお手伝いをしてもらっている。何年か前には、忘年会とかで本人、家族、職員と会を設けていたが、年々ご家族が高齢になってきて参加も少なくなり 再開したいのだが、まだできていない状況にある。
・私たちの法人には入所施設はない。通所事業中心の法人であるので、そういった意味では、日々ご家族と顔を突き合わせることが多い、当然朝夕の送り迎えとかそういったやりとりで入所ではない日々のやりとりが頻繁に行われていることが良いのかなと思う。
・グループホームも少ししているが、基本的には通所系の法人で、各事業所で本人と家族の会ということで設置して活動している。
司会
・リレートーク者の紹介を先にさせていただいたが、本来であれば、この第三分科会の趣旨について説明しておくことが大事であると思うので、お話ししたい。
・要項の冒頭にあるように、利用者が、生きがいのある暮らしができるようにするには、そのためには、事業所と家族会の連携はどうあれば良いかということが主題になっている。
・昨年度のこの第3分科会では、地域の家族会のお話しさせていただいた。今年は、事業所の家族会(岡山県手をつなぐ育成会では施設家族会と言っている)がどうあるべきかということが、組織委員会の中で議論されたので、この主題で運営してはどうかということになった。
・それで、本日の資料として、アンケート結果を配布していると思う。これは、この協議をする前に、会員のみなさんがどのように思っておられるのか、家族会 の会長さんはどのように感じておられるかを事前にアンケート調査をさせてもらった。このアンケート結果を見てもらえば協議も深まるだろうと思ったのであ る。
・それではアンケートの説明をさせていただく。
[アンケート結果について説明] 配布されたアンケート結果
・それぞれのみなさんが入所、通所される中で、いろいろと問題があるだろうと思う。何事もなければ良いと思うのだが、もし、問題があった時にそれはどうするのであろうか。会場の皆さん方で、家族会に相談するという方は手をあげてみてください。
・(手が上がらない)あげにくいのですね。実はそこが引っかかる面があるのである。もう一つ、いよいよ問題になったらどこへいけば良いのでしょうか。
・実は、数日前に相談があった。その事例をお話ししたい。
・この間、ショートステイをお世話になった。ところが本人が帰ってきて、泣きじゃくるのでどうしたのかと尋ねると、指導員に340円のうち、300円盗ら れたという。パスが切れていたらと思い、片道運賃の340円をもたせていたのだとのこと。ショートステイも二回目で、初めて利用した時、指導員の方と打ち 解け、これは良いと思って利用したら二回目とこのようなことが起きたとのこと。事業所側の施設長さん、当該の指導員、相談担当とも話し合ったのだが、本人 が嘘をついたのではないかと言われたとのこと。
・家の近くに派出所があり、そこのお巡りさんにも話を聞いてもらい、市の方へ相談に行かれてはと勧められた。私も話を聞いて、気が収まらないのであれば市 に訴えてはどうかと勧めたが、私も高齢であるので、それだけの力もないと言われ、話を聞いていただいたことで少し気が楽になったと言って帰られた。
・実は私が直接関わったものではないが、こういった金銭のトラブルを聞いている。事業所の中で体罰のような虐待もあるということも聞いている。でもそれがお互いに言い出せない。お互いが困ったことを相談しあえる仲間になることではないかとみなさんは思われないか。
・私もこの活動に長年かかわってきたが、お話しを聞いて少しはお気持ちを軽くすることができたが、それだけでは解決しない。
・午前中に久保会長さんから相模原事件のお話があった。また、最近では山口県の下関で施設での虐待事件がマスコミに出たのはご存知と思うが、そのように騒ぎ立てられたら、後は大変なことになることはわかると思う。
・そういう大変なことにならないように、家族会と事業所がしっかりいろんな問題のことについて話し合い解決することは大事なことではないかなと思っている。これが、この第3分科会を設けたねらいである。
・少し私自身が話し過ぎたので、ここでリレートーク者へそういう問題が起きた時どのようにされるか、こういったことについていかが考えられるか、お話しいただきたい。
河本さん
・問題というものはどうしても起きる。家族側と施設側とのコミュニケーションが不十分であると行き違いが起きて、トラブルが起きることが多いではないかと思う。
・ただし、日頃から職員さんとコミュニケーションをとる、日頃お世話になっているので、感謝の意を込めながら職員さんと話し合い、相互理解を深めていくということが大切なことではないかと思う。
・相互理解を深めることによって、または虐待防止、あるいは抑止力にもつながってくるのではないかと思うし、施設を守ることにもつながることであると思っ ているし、ひいては職員さんをも守ることにつながってくると思っている。そういう意味でもコミュニケーションの取れる家族会にしなくてはならないと思って いる。
・福祉部の家族会は、年6回であるが、これで良いのかということもあるが、家族によってはこの家族会にも出てこられない人もあるので、郵送などの手段でお気持ちを汲み取りながら家族会の内容や回数を検討したいと思っている。
秋元さん
・苦情や要望は、なんでも相談というところへ上がってくるのは、家族のない本人からで、家族の方からはほとんどない。家族の方は各部会で懇談会があるので、その中で要望や問題などについて話し合われて解決されている。
司会
・先ほどのお話の中で、なんでも相談は月に一回あるのか。
秋元さん
・奉仕日の日に開催されている。いろいろと細々なことが上がってきているのを第三者委員である社会福祉協議会の方や社会福祉士の方の3人が入られて意見交換しながら対応している。
司会
・苦情処理委員会には、法人関係外の人にお願いしているとのこと、素晴らしいことだと思う。この間聞いたことでは苦情を言おうとしても施設の職員が委員だから話ができないというところもあり、話しやすい人が委員になっていることが大事なことではないかと思う。
池田さん
・過去に差別的な発言が問題になり、その苦情も簡単に解決ができたが、先ほど申し上げたように常に管理者が出てきているので、こちらの発言がすぐに理解し てもらって対処してもらう。私どもの施設では、利用者も職員も関わりが長いので、ちょっとした馴れ馴れしい発言が差別と受け取られたのではないかと思う。 最近はそのようなことはない。
五代儀さん
・コミュニケーションは大事である。ご家族と職員がどれくらいコミュニケーションが取られたいるか、昨今、この法律になって若い職員が増えた。
・すると、ご家族の前では直立不動である。萎縮してしまう。うちは通所であるので、親御さんとのコミュニケーションは大事であるし、ご家族もしっかり職員に本音で話してほしいなというのがあるが、コミュニケーションの問題をすごく感じる。
・先ほどのお金の着服は言語道断である。でも先ほどのお金の問題もすぐに対応できてよかったと思うが、特に入所の方の場合、1ヶ月2ヶ月経ってそんなことがあったということを聞くことはないか。
・資料にある、本人が嫌がっていることないかという理由があるが、これらの大半は事業所側が努力すれば解決することである。
・人間関係、悪口、大声、うるさい人。対人面の問題である。うちの事業所でも利用者同士のトラブルが多い。そこに職員をどう割り振って改善していけるか。
・コミニケーション不足、わかってもらえない、これもそうだが、声のない人のニーズをどう捉えていくか、作業や活動内容が思うようにできない、我々職員が思うようにできるようどう改善していくか。
・あと環境のこと、通所のこと、これも職員の努力で解決できることであると思う。家族会の趣旨と少しずれるかも知れないが、職員の改善で一気に解決できるのではないかと思う。
・それともう一つは、ご家族の方が日々事業所にお子さんを預けていると、少し言いたいこともあるのだけれど、ちょっと飲み込んでしまったりされることもある。
・であるから、それがないように話しやすい、なんなりと言ってくださいという風土というか、施設、事業者の姿勢が大事だと思う。
・僕も管理者であるが、ご家族は私に何でも言いやすいようで、針の筵のようになってしまう。その一つ一つに答えられないが、ただ誠実にどう対応していけば一緒に考えて聞いたと思っている。
・職員が困った時には、サービス管理者がご家族の間に入り、ご本人のトラブルのこととか、支援のあり方の疑問や悩みを気楽に話し合える環境作りが必要だと思う。
・後、ご家族の中にもものをいう人とものを言わない人の格差が大きい。職員には、クレームは宝だと言っている。苦情や要望の多いご家族ほど、すごく我々の支援の質を高めてくれるのだというの職員に刷り込んでいる。
・どこまで進行しているかはわからないが。
・家族会に参加される方と参加されない方の開きが出てきたり、そういうところにも通じることがあるのではないかと思う。
司会
・会場の方で何か、質問や意見はないか。無いようであるので、久保さんに助言をいただきたい。
久保さん
・今、いろいろとお話を聞かせていただいたが、私も親であるから、障害の者の親であると同時に、社会法人の経営者でもある。
・であるから、親の気持ちもわかると思っているけれども、法人を作った時に家族が物を言えない法人はダメだと思っている。
・家族がなんでもものが言える法人を作ろうということで、私は作ってきた。そのお陰で、結構いろいろと言っていただける。私も針の筵に座っている。
・実は、うちの息子はそこを利用していない。私の経営しているところを利用していない。だから、ご家族の方から久保さんはここを利用していないのだから、あなたはわからないだろうと言われる。そのくらいのことを言っていただける法人でないとダメだとは思っている。
・一番、きついことを言われたのは、職員に向かって今度はお前を辞めさせてやるということをお父さんが言ったと職員が私のところに言ってくるものだから、気持ちはこういうことで思っているのだよ、だけどお父さんには人事権はないからと言った。
・そのくらいいろいろと言ってくれるのだが、でも、一緒に活動しているお母さんは、久保さん、私は言いたいことの半分も言うてはないけどと言われる。ま あ、そのくらいである、親というのは。ぐっと飲み込んでいることが必ずあると言うことは、法人の方でも職員もわかっておく必要があるのではないかと思って いる。
・苦情のようにいろいろと言ってこられるご家族の方がおられる。それは、私も職員には文句だと捉えてはダメだと言っている。それは、親が我が子のことを一途に思っておっしゃっていることには間違いないことだ。
・ただ、障害のある人も、人をちゃんと見ている。人も見ているし、場所も弁えている。であるから、お父さんお母さんがいる時にすることと、いない事業所ですることと言っていることと違ったりするのだ。
・私は、職員にもそして保護者の方にも言っていることは、(卓上のペットボトルを示しながら)これを本人とすると、お父さんお母さんからみると美味しいお茶と言うこの柄が見えているが、こちらから言うとその柄は見えない。
・立ち位置によってこの人の見え方が違うのだと。職員の方から見えることと見えないこと、親から見て見えること見えないこと、お医者さんからもそうであるし、学校の先生からもそうである。
・立ち位置によって本人の見え方が違うというのは当たり前のことである。だけれども全部ひっくるめてこの人であるよねと言うことをみんなが理解することが必要ではないかと言うことを、親御さんにも職員にも言っている。
・であるから、文句だと捉えてはダメだ、お母さんお父さんから言うとこの柄が見えているのだから、こうしてほしいと言っているのだから、それをきちんと受けて止めなさい。だけれども、こちら側から見るとそのようには見えないと言うこともちゃんと言う必要がある。
・そのことをお互いがちゃんと話し合って、ではこの人を中心にどうしていけば良いのかという話し合いをしようと職員にも言っているし、保護者の方にもそのことをお願いしている。
・本人は場所も人も使い分けてしているから、見えるところ見えないところがあるわけであるから、それをみんなが共通認識する必要があるなと思っている。
・それとうちの法人の方では、家族支援室というものを作っている。第三者委員の人もおられるが、それは、きちんと問題解決しなければならない時に第三者委員にお願いする。常々報告したり意見を聞いたりするが、いつも開催することはない。
・この家族支援室には、それを専任する職員を1人つけている。同じ敷地内にあまり入りたがらなかった職員宿舎があり、その空いている部屋を家族支援室にして、そこになんでも良いから話に来てもらうことにしている。
・そこには、うちの施設で一番優しい、なんでも話を聞いてくれる人をつけている。いつでもなんでも相談できるという形をとっていて、そこで成年後見のこともいろんなことの相談に乗りながらお手伝いし、苦情も聞いたりもしている。
・うちの法人はできて20年になる。新たにできた法人の滑り出しはとても大変である。職員も寄り合い所帯であるし、利用者もあちこちからこられていて寄り合い所帯になっている。
・であるから、親御さんはここが良かった、ここはこうだといろいろと言われる。職員も一つの方針で動くということをきちんと回していけるようになるには時間がかかるのである。5、6年しないと落ち着かなかった。
・その時にいた施設長が体を壊し、退職されたので、私がこの人と思う人を日参し後任者にした。その方も障害者の親である。理事長も施設長も親であると言う ことで、これは良いことか悪いことかわからないが、親の気持ちがよくわかるから、親御さんが苦情を言われる前に自分のところにこれができていないなと分 かったら、うちはここができていないのでこれをしなくてはならないと先に言ってしまう。そうするとよく分かってくれていると言うわけで、そのついでにもう 少しこれあれと言うことが出るようになったが、今までわんわん言われていたのが随分マシになったというのはこちらがご家族や本人に寄り添う気持ちがない と、そしてそこに気づき、うちはこれができていない、これは来年取り掛かるとか、2年かかると、ちゃんとお伝えする、でもこれは今できないという理由も はっきり言ってしまうと保護者の方も付き合ってくださるのである。私も保護者の立場であるから、息子の利用している事業所に文句を言いたいこともぐっと言 葉を飲み込むことがある。
・家族とかはちょっと遠慮してしまう、なんとなくお世話になっているからという気持ちはあるでしょう。ちょっと言葉を飲み込んでしまうだろうが、そこをコ ミュニケーションをよくすることと、事業所の方も親はどう感じているか、本人はどう思っているかなということに寄り添っていただいて、気づいていただくこ とも大事ではないかと思っている。
・それともう一つは、上手に職員を私たちが育てなければならない。事業所の側でもちろん育てているが、利用する私たちが自分たちにちょうど良い職員になっ てもらうために私たちが職員を育てる。誰でも褒めてもらえると嬉しいものであるから、文句ばかり言うのでなくて褒めて褒めてちょっと苦情を言ってとか、く すぐりながらこれだけしてくれたら助かるがなと言う感じで、家族も知恵を絞って職員を育てるということをする必要があるのかなと思っている。
・それと同時に法人の方では職員の研修をきちんとしていただいて、職員も仕事としてこなしていないか、私たち家族から言うとこういう支援すると本人はどう 思っているかを考えながら支援をしてもらいたいのである。自分の立場を変えたらどう本人が思うだろうかということを常に頭に置きながら支援をしていただき たいなと言うのが親の立場である。お互いが本人を理解し、お互いの立場も理解し合いながら本人を中心において努力する。
・親が大事なのでなく、本人この人が大事なのであるから、この人のためにどうしたら良いのかと言うことをお互いに話し合いながら、時々喧嘩もしながら、喧 嘩をしても良いと思う、最終にこの人のためになれば良いのであると思う。そういう意味でコミュケーンションを取りながら物事を進めていくのが良いのではな いかと思う。
司会
・ありがとうございました。平成15年頃であったか、このようなアンケート調査をしたことがあるが、その中で書かれている保護者の方のお話が未だに忘れら れないのであるが、本人を事業所に連れて行くとある人に視線が向いた時に表情がすっと硬くなる。それでその人との人間関係がうまくないのだということを感 じたと書いてあった。表情を見れば、いくら重い障害のあるお子さんであっても心の内が表情に出ていることがあると思う。そういったところをお互いに感じな がら、少しでも本人にとって良い環境を作っていくという努力をする必要があるのではないかと感じている。
・今までのところで会場の方で質問はないか。
保護者
・苦情の話があったが、法律に苦情箱を各施設に設置しなさいと言う規定があったと思うが、設置されているのかお尋ねしたい。
五代儀さん
・苦情箱を施設においてある。利用者向けの意見箱なのでなかなか出ない。特定の利用者さんはたくさん入れてくださるのであるが、なかなか全員の方からは寄 せらていない。家族の方の意見箱は設けていない。ご家族は通所系であるので、日々顔を合わせていたり、連絡帳を作ってそこで書いてやりとりをしている。苦 情解決の窓口、解決の責任者、そういったものは義務付けられているので、苦情解決の流れは一応整っている。
河本さん
・みのりの場合は、苦情箱は設置されていないと思う、私も見たことがないので。苦情などは施設の職員さんが受け止めていると思う。
秋元さん
・ひまわりの場合は多分あったと思う。職員や施設に対するもので苦情があれば入れるようになっているが、あまり利用されていないように思う。みんな口頭とか電話でしているように思う。
池田さん
・私の方では、苦情相談の受付がある。苦情箱の存在があるかどうかは確認できていない。しかし、家族会の方では設けてある。
保護者
・かって、旭川学園に子供が3年お世話になっていたが、各施設の入り口のところに苦情箱があった。それにいろいろと要望などを入れておくと必ず上の人が見 ていたようである。苦情などはなかなか本人や家族が施設の方に言うことは非常に勇気のいることであって、難しいと思う。例えば、保護者会の方へ相談すると 言うのが筋ではないかと思う。会社の場合は、労働組合と言うのがあるが、組合の方へ要望や意見を言うと組合が代表になってが会社と話し合うようになってい るおり、本人が直接話し合わなくても解決ができている。ところが施設の場合は、直接職員と保護者が話をするのが筋ではないかと言われたが、それはまず難し いと思う。そこの中に、家族会が相談できるような体制を私は作っていくことが一番大切なことではないかと思う。そういうことについて、河本さんはどのよう に考えておられるのか。
河本さん
・施設側に言いづらいと言うことであるが、どういう形が良いのかわからないが、苦情等があれば、家族会が吸い上げるような体制は作っていかなければならないと思う。
保護者
・今まではどうであったか。
河本さん
・今までは苦情等お電話があったりして直接お話ししたことはある。
保護者
・話をして施設の方から睨まれて非常に困った場合に、家族会が守っていくという気持ちはあるか。
河本さん
・話の内容にもよるがお互いの話を聞きながら、良い解決策を探っていくお手伝いはやぶさかではない。
保護者
・家族会は会員を守っていかないと、苦情を吸い上げていくことは難しいと思う。
五代儀さん
・ご意見はありがとうございます。ただし、家族会と我々職員側が対立軸でなっていてはいけないと思う。ご家族の方が言われるように家族会は家族を守る最後 の砦と言われるのはよくわかるが、職員と家族会が対立関係にならないように、ご本人を両側から支えるようなそのような仕組みが大事である。本人にも、うち には自治会のような組織を作っている。今、苦情はなかなか出ないと言われるのはその通りなのだが、ご家族が遠慮されて言われないのだが、苦情を言われた方 に対して不当に我々は差別したり、支援に差をつけたりすることは絶対にしてはいけないと思っている。
保護者
・施設の保護者会が仲良くなって個人が睨まれて孤立していくということはあってはならないと思う。施設と家族会は車の両輪であるから。つきず離れずで、施設と家族会が一体になってはこれは大変だと思う。
秋元さん
・家族会と施設が対立するということでなく、一緒に仲良くしていかなければならないが、今言われたようになかなか言いづらいことがあるということで、今年 だったか昨年だったか、施設の方で無記名でなんでも言ってくださいということでアンケートを採った。すると結構要望などが上がってきた。施設の方でもこう いうことをしないとなかなか上がらないことに気づいた。そこで、家族会として言いづらいことでも話せるように体制を作った方が良いと思う。
司会
・貴重なご意見をありがとうございます。今、秋元さんが言われたように、皆さん方の考え方は まちまちであろうと思う。でも家族会として活動する上では、所属する会員さんがどのようなお気持ちを持っているのだろうかということはやはり役員の方はそ れを把握しておくことが大切であろうと思う。そういう意味で先ほど秋元さんが言われた無記名でのアンケートも一つの大事な手法ではないかと思う。いろいろ ご意見を集約しながら活動に持っていくという活動を地道に続けていくが大事なことではないかと思っている。
・時間が迫ってきたので、続いて親の会の活動と問題点についてアンケートの説明を行う。
[施設家族会アンケートの説明]
・雑駁なアンケート結果についての説明をさせていただいたが、家族会の今抱えている問題と解決の仕方についてリレートークに移りたい。
池田さん
・家族会が大きくても小さくても問題は一緒である。高齢化、会員の固定化、大きな施設の家族会の問題は一緒だと思う。こられる方は毎回こられ、奉仕活動に も参加してくれる。
・私どもの事業所はA型事業所で利用者が就労している。ところが、就労であるから、一般の就労者と同じだと見てしまっている親御さんがおられる。
・このような方は絶対に家族会に出てこられない。また、親が出てこられていたのが、今頃は叔父叔母という現実があるので、今後、なんとかしなければ家族会の維持が難しいと思っている。
・今日お話しがあった問題点について、うちの家族会でもアンケートを採って、その辺りを探ってみようかなと思っている。
・それから、家族会の中で利用者がどのような仕事をしているのかがわからないと言われる方がおられる。その方々にいつでも見学ができるので、呼びかけ、そして家族会にも入っていただくように工夫してみたいと思っている。
秋元さん
・利用者が高齢となり、60歳を超える方が10数人もおられ、親の方はそれ以上の高齢となっていて、おじさんとか兄弟姉妹となって家族会に入ってもらっている。
・なかなか家族会にも出てこられない方も増えている。どうしようかといろいろ考えてはみるのだが良い考えもない。職員の方にも協力をいただいているが、これもあまり効果がないのが実態である。
河本さん
・私たちの家族会も会員の高齢化が大きな課題とはなっている。家族会の平均年齢というものは把握できていないが、利用者の平均年齢は52歳と言われているので、これから推察すると70~80代、兄弟姉妹であれば50歳代ではないかと思う。
・家族会会員の内訳は、160名会員がいるが、父母の方が56%、兄弟姉妹の方が34%、叔父叔母の方が4%、甥姪の方が1%、弁護士など後見人をされている方が4%となっている。
・今後、高齢の方が誰に引き継いでいただけるかが重要である。家族会に参加できる方に引き継いでもらいたいと強く思っているところである。
・そういうところで、年六回の全体会合を、昼食会など楽しみを増やしながら、今後満足していただける家族会にしていけるかを常に模索しながら、進めていきたいと思っている。
司会
・五代儀さん、家族会を支援するために事業所として良い工夫はないか。
五代儀さん
・答えになるかどうかわからないが、家族会の問題というのは、イコール社会の問題ではないか。今、超少子高齢化の社会ではないか。なかなか参加できる方、参加できない方の格差はどんどんできてくるではないかと思う。
・町内会もそうであるし、育成会もそうかもしれない。私が入っている各団体もだんだん集まりが少なくなっていると感じている。
・これは人と人との関係が希薄になってきているのではと感じるのだとか、また、情報がつぶさに入ってくるので、わざわざ団体に入らなくても良いと思う人が増えているのではないかと思う。
・それではどうするか、もう少し若い人をどんどん巻き込んで新しい取り組みをする。会員を増やすというよりも若返りを、それが活性化するポイントではないか。
・それと久保会長が言われた意思決定支援が、我々職員については課題であるし、やっていかなければならないことであると思っている。
・その意思決定支援は、親のものではなく本人の意思の決定支援をしていかなければならないことをしなければならない。
・ご家族の意思が我々を覆い潰すというようなこともあるが、ご本人の意思決定が大事だということを会員のみなさんが考えていかないと、ご家族だけが一人歩きしてはいけないのではないか。
・カミングアウト(公にする)してしまうと私の父親も重度の障害者であった。もう亡くなったが、家族の気持ちはよくわかる。家族の思いが先行してしまうと本人が置き去りされてしまう。
・ちょっと面白い話だが、施設内で「ふりかけで宇宙へ」という言葉が我々の業界で流行っている。
・入所施設で白いご飯にふりかけで食べたいと言われるところ、それからテレビで宇宙飛行士が帰還したのを見て、僕は宇宙に行ってみたいというのである。
・意思決定というのは奥が深いのである。ふりかけでご飯を食べてもらうことから、宇宙へいきたいという意思をご家族と手を取り合って、家族会と我々とが対立するのではなく協力しあって、ご本人を中心にしてどう意思決定をしていくのかがとても大事であると思う。
司会
・リレートーク者の4人のみなさん、貴重なご意見をありがとうございます。もっと若返れというご意見であったので、少しでも若返ってお帰りいただきたいと思う。
・最後に、久保会長さんに、事業所家族会は今後どうすれば良いのかをおまとめいただきたい。
久保さん
・先ほどの河本さんのお話に家族会の会員には父母が56%、叔父叔母が34%とか説明があったが、多分、親はいつまでもおられないだろう。そして、兄弟であったり第三者の弁護士とか、そういう人に託していかなければならない時がくるわけである。
・ということは、家族会そのものの模様も変わってくるなと思っている。多分、若返りとともにメンバーが変わってくる。いつまでも親ではない、利用者の方が そこをずっと利用されていたら、ずっと親が家族会に出てくるのではなくて、親が出てこなくても兄弟が出て行ったり、後見人なられた弁護士が出て行ったりな ど、出てこられる方の模様が変わってくるということが、このまま普通に行ってもそのようになると思う。
・その場合、親が率先して事業所とのコミュニケーションの良い関係性を作っておかないと、兄弟であって本人のことはよくわからないのであるから、だから私たち親がそういう関係性をちゃんと作っておく必要があると思っている。
・成年後見利用促進法というものができて、どうすれば成年後見が利用促進できるのかという委員会がある。私はその委員会に出ている。成年後見というのは、財産管理だけしてくれるイメージが我々としてはある。
・成年後見そのものの仕組みが私たちによく分かっていないということもあるが、財産管理をやっていてくれて弁護士とか第三者の後見人が本人にちっとも会いに来てくれないということを全国のあちこちから聞く。
・であるから、後見人をきちんと選ぶということも必要ではあるが、後見人が親より本人のことをよく知っているというようなことはないと思う。
・ということは、私たちが事業所とどれだけ良い関係でものが言いやすい、そして分かってもらいやすいという関係を今私たちが作っておかないと、私たちよりもよくわかっていない人が代わりに出て行くようになってしまうのである。
・だから、今、いろいろとお話があったが、家族会が様変わりしていくその時に本人のためになる家族会にいられるということにするには、今、私たちがその雰囲気を作る、その仕組みを作っておく必要がある。
・ではそれをどうするかということが、今日の議論だったと思う。
・一つは、私の施設を例に出して申し訳ないが、職員と家族会と、それこそいろんなものを食べながら喋るという機会を設けている。家族会そのものもいろいろ食べながら話をされてそこで意見をまとめて要望書にして、事業所の方に出していただいている。
・月に一回それをやっておられる。家族会を午前中にして意見をまとめられて昼からは施設と話をして、誰とは言わずにこんな話が出ていたと、月に一回している。
・それとは別に年二回ぐらい、職員と家族とがご飯を食べながら、なんでも話そう会というものをしている。そういうことで、本人のことを周りの人である私たちが支えていかなければならないのである。
・本人からいろいろと教えてもらうことはあるが、その教えられたことをつなげ合わせながらも私たちが支えなければならない、その一員が家族である。
・そういう意味で、今、家族会が良いコミニュケーションが取れるように作っておくという必要があって、一つは、難しいことばかり言うのではなく、楽しいこ とやいろんなそういう雰囲気の中で好きなことが言える、プライベートな話もできるというような、そんな関係性を作っていくことが大事なことかなと思ってい る。
・この家族会が様変わりする前に、家族会の中での勉強会、研修会は必要ではあるが、施設と一緒に勉強する、施設と一緒に食事会をしたり、そういうことをしながら、良い雰囲気を私たちが今、作っていく必要があるのかなと思っている。
司会
・予定した時間となった。今日は、非常に実あるお話をたくさんしていただき、リレートーク者、助言者の久保会長さんに心よりお礼を申し上げたい。
・今日の協議の中にあったことの中のものを、ご参会のみなさんがいくつかでも生かしていただき、事業所家族会の発展のために気を長く、細く長くコツコツと努力すれば必ず明るい展望が開けると思うので、皆さん方の奮闘を心から祈り、第三分科会を閉じたい。
歌川運営責任者
・この場所で、閉会式を行うので、このままでしばらくお待ちいただきたいことを告げて第三分科会を終了する。